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始まり 5

 龍樹の挑発にお大柄な男たちの一人が彼に向って拳を振るおうと、腕を引いた。その腕を男の中の一人、コスタが掴んで止めた。


「兄さん! こいつは調子乗ってます! ぶっ飛ばしましょ!」


「まぁ、落ち着け。今中で騒ぎを起こすなって怒られたばっかだろうが。昨日の今日ってのはさすがに迷惑すぎるだろうよ」


 そうはいているが、明らかに今の流れで敵意を持たれたはずだ。それは彼にとっては悪くない手だと考えていた。おそらく、ベルシャインも彼らに接触を図り、彼らを怒らせるか、気に食わないことをしたのか。どちらにしろ、このダークスターとかいうダサい名前の組織にとって害でしかない行動をしたはずだ。それで敵対されて、どこかで彼らに何かされた。コスタが理性的な人間であれば、ベルシャインを昨日今日で、殺すとは思えないが、組織の他の人間が理性の機能していない馬鹿どもであれば、話は別だろう。


「で、俺たちを挑発して何が目的なんだ」


 今度はコスタが、龍樹の目の前に来て、彼を迫力ある目で睨む。しかし、視線だけであれば、彼が怯むことはない。元居た世界で、小鳥に手を出そうとした不良グループを殴り倒して、小鳥に手を出さないグループからも喧嘩を吹っ掛けられた過去がある彼にとっては視線だけでは、怯むことはないのだ。この世界の本気の殺し合いはしたことはないが、拳や鉄パイプを使われた喧嘩自体は経験がある。ましてや今は、魔法も扱えるのだ。拳だけで戦ってきそうな相手には負けることはないだろう。


「いや、あんたらが悪者だって話を聞いてな。だから、ぶっ飛ばしてやろうと思ってさ」


 彼はなおも挑発を続ける。コスタ以外の男たちの我慢も限界になっているのか、コスタの後ろにいる男たちの視線が敵意を超えて、凍えそうなほど冷たい殺意が放たれている。コスタもそれを理解しているのか、いないのか。それでも彼は龍樹には手を出そうとはしなかった。


「わるもの~? 俺たちが? はっ。なんだそれ、誰が言ってんだよ。俺たちは他の冒険者を手伝う代わりにちょっと、依頼料をもらってるだけだぜ?」


「……嘘はよくねぇって。わかるにきまってるだろ? あんたらが悪い奴なのは、いくらあがいても変わんねぇんだよ」


「……おいおい、こっちが我慢してるのわかって言ってるだろ。俺の仲間は既に我慢できてねぇみてぇだが、俺もそろそろ見逃せねぇよ? ああ?」


「ああ、そうか、ギルドの中じゃせこいよな。外に出ろよ」


 龍樹は彼が起こるまで挑発し続けたのだ。コスタでなくともそのふざけたような態度で腹の立つことを言われ続ければ、我慢の限界が来るのは当然と言えるだろう。


 挑発されたコスタたちは、すぐにギルドの外に出て行った。龍樹もそれの後を追おうとたちがあると、そこに近くにいた冒険者の一人が近づいてきた。


「もう遅いかもしれないけど、コスタたちは強いよ。法外な値段ではあるけど、確かに他の冒険者の手伝いをしてる。このギルドの中でも実力者の方だ。あんたみたいな新顔が勝てるとは思えない。土下座でもなんでもして謝った方がいい。死ぬよりはましだろ」


「忠告、どうも。だが、大丈夫だろ。なんとでもなるさ」


 彼は忠告してくれた男の肩を叩いて、その男の横を抜けて、外に出た。ギルド内にいた誰もが、龍樹を心配しているようだった。彼でなくとも、誰かが死ぬのは見たくないのだ。彼の見た目からしても、コスタとそれだけの実力差があるように見えたのだ。それも当然だろう。龍樹は命のやり取りがある戦闘はこれで二回目なのだ。経験のなさが冒険者ともなればわかる。ギルド内の数人が龍樹のことが心配で、外に出て行った。




「ここらでいいだろ。この広場なら多少無茶しても大丈夫だろうからな」


「降参したら負け、な。あんたらもこんなくだらないことで死ぬなんてバカバカしいだろ?」


「今更、怖気づいたのかよ。腰抜け! 死んだ方が負けに決まってるだろ!」


 コスタではない男があ頭に血を登らせたまま、そういった。周りの男たちも彼の言葉にうなずいている。コスタもそれに賛同するようにして大きくうなずいた。


「あっそ。じゃあ、あんたらが死んでも責任はとらねぇよ?」


 龍樹のその言葉にコスタ以外の男たちも怒り、言葉にならない怒声を上げていた。


「兄さん! 速く、こいつやっちまいましょう! もう、我慢なんてできねぇス!」


 開始の合図などもなく、コスタの隣にいた男がダッシュで龍樹に近づいてきていた。龍樹はそれを目で追い、相手が近づいてくるのをぼうっと見ているようにしか見えない。男の拳は彼に延ばされた瞬間、彼は少し体を傾けて、攻撃を回避して、相手の腕に触れた。

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