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都合など知らずに 5

 王様たちが食事を取る部屋で会議をしなかったのは、小鳥と龍樹に少しでも聞かれないようにするためだった。食事をしている部屋で会議をして万が一にでもばれたら、彼はおそらく情報を聞き出して、そのまま組織の元に向かうだろう。完全に壊滅できればいいが、二人で行動するには人数が少なすぎる。それに龍樹は戦えるが、小鳥に関してはまだ、魔法は子供が使うようなものしか使えない。記録の中でも聖女がすぐに魔法を使いこなしていたという話は少ない。異世界のことを知っているというものですら半分程度。何も知らないよりはましかもしれないが、犯罪者相手に戦えるほどの戦力にはならないだろう。


 だが、心配して、そのための対策をしていれば、それが裏目に出るということはよくあることだ。そして、今回も王様たちの話をついつい聞いてしまったのが龍樹と小鳥だ。龍樹を寝かしつけてしまったせいで、彼が早起きしてしまった。そして、小鳥もそれにつられて起きてしまったのだ。彼らが部屋の扉を開けると、そこにはすでに団長がいなかった。ファベルには何も言わずに、二人は王宮内を散歩することにしていた。そして、その中で騎士が部屋の中に入っていくのが見えた。彼が入ると同時に部屋の扉が閉じて、二人はそこに興味を持ってしまった。騎士の会議があるというのなら、興味があったのだ。それに龍樹には暗殺者に対抗する会議でもあれば、それに参加しようと考えていた。


 扉の前でも中の雰囲気を感じていた。微かに聞こえる声を風の魔気の性質を利用して、自身の耳の近くで音量を上げる。風の魔気は音を伝えやすいという性質を持っているとセレナルから教えてもらっていたため、その性質を利用して、拡声器のイメージで声を大きくしていた。


 中の話を聞けば、それなりに自分が心配されているということが分かった。特に王様が心配しているようだ。食事している時くらいしか顔を合わせないため、体調を気遣っているように見えるのも、そう見せているとばかり思っていた。しかし、そうではないらしい。そして、話を最後まで聞けば、既に暗殺者を送り込んできた組織はわかっているようだ。ダークスターという組織。それを壊滅させれば、とりあえず当面は暗殺者におびえる必要はないということだと彼は考えていた。彼の中では犯罪者が多いとはいえ、大きな組織を倒せば、それでそこそこ悪者たちも少しは自重するようになるのではないかとも思っていた。


 全ての話を聞いて、彼は騎士たちが出てくる前にその部屋から離れた。騎士が出てきて、王子と王様がその部屋から出てきていた。そして、全員がその部屋から出たのを確認して、その部屋の中に入る。中は他の部屋とは違い簡素な作りだった。部屋の真ん中にある大きなテーブルの上にある地図に注目すると、その地図の意味が理解できた。文字は理解できるのだから、それが何を示しているのか理解するのは難しくないだろう。


 彼が地図に注目していると部屋がノックされた。小鳥は肩をびくりと動かしていた。小鳥はすぐにドアの方を見て、龍樹の目を見た。彼女からすれば、何か悪いことをしているような気分なのだろう。龍樹は小鳥の頭に手を置いて大丈夫だと態度で示した。それは当然で、王宮にある施設は基本的には入ってはいけないところはなく、好きな場所を使っていいと許可を得ているのだ。この部屋が入っていはいけない場所だというのなら、注意を受けているか門番がいるかのどちらかだろう。それがない問うことはこの部屋は入っていはいけない場所ではないのだ、と頭の中で言い訳を作り出す。当然、怒られるというのなら、謝るだけだ。


「ファベルでございます。失礼します」


 宣言通り、中に入ってきたのはファベルだ。彼女は特に二人を責める様子はなかった。


「すみません、この部屋に入っていく二人を見かけたもので、この部屋で何をするのかと思ってついてきてしまいました。申し訳ありません」


「ああ、いや、それは構わない。地図しかなくてな、そろそろ出ようと思っていたところなんだ。小鳥も行こう」


 ファベルが来たことで、その部屋にい続けるというのはどことなく居心地が悪いと感じて、彼は小鳥とファベルと共に部屋から出た。部屋を出て、彼は廊下の左右をみた。そして、廊下の先にはベルシャインを見つけた。彼とは視線が交差したが、龍樹は彼を無視して、小鳥の視界にベルシャインが映らないようにしてその場を去る。彼の後ろでファベルは一礼して、龍樹たちについていく。


 ベルシャインは、地図を見ながら再び作戦を立てようと戻ってきたのだが、そのせいで龍樹たちに会うとは思わなかった。


(これはまずいかもしれませんね。彼に勝手に行動されることが一番困るのですが……)

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