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騎士&付き人VS古い悪魔 3

 悪魔が自身の治癒能力で、龍樹の与えた傷を治したのだが、それに驚きもしなかった。それが気に食わない悪魔は少しだけイラついていた。


「これくらいは、貴方たちの世界では当たり前のことというわけですか。どんな世界か全く想像がつきませんが、私のような力を持ったものが多いということでしょうか。それとも、既に悪魔が支配しているというわけでしょうか。気になりますが、私は別の世界に移動する手段を持ちませんから、確認のしようがありませんね。いやしかし、興味は尽きません」


 悪魔の言っていることを理解はしているのだが、龍樹たちのいた世界にはそもそも、人間以外で人間並みに知能のある種族は確認されていない。もちろん、目の前の悪魔のように一瞬で外傷を治すような能力はない。医者の手にかからなければ、傷を治すことはできない世界だ。それでも、その原理を知らなければ、魔法に見えるだろうが、龍樹の世界の人はその原理をある程度は理解しているし、理解していなくとも理解しようとすれば、それなりにその情報を簡単に集めるツールもある。そして、そのこの世界の魔法学とは全く違う、科学を根底にした技術は悪魔には全く理解できないだろう。そこに興味を持ったとしても、この世界にいる限りは悪魔はその知識を得ることはできない。


 悪魔は口を動かしながらも、その状態だと目の前の付き人であろう男には勝てないと考えていた。今の悪魔には角も翼も生えていなかった。彼を悪魔と認識しようと思えば、その肌の色や目の色を見るしかない。それがわからなければ、彼を人間だと思う人は少なくないだろう。今の彼の姿では全力は出せなかった。封印から解かれたときにはあまり体内にエネルギーが少なかったため、エネルギーを使わないようにしていたのだが、今はエネルギーを抑えずとも戦うことができると考えていた。しかし、人間相手に最初から全力を出すのは、彼のプライドが許さなかった。だから、彼はまず、自分の翼を出した。意識せずとも、宙を自在に動けるようになり、本来の姿に近づいたために、身体能力や魔法能力も全力の三割ほどを開放する。


 騎士たちがその様子を見て、その姿に気圧されていた。しかし、龍樹はそれを見ても大して何かを感じるということもない。確かに目の前の悪魔の能力が上がっているのは感覚的にわかったが、それに恐れを感じることはなかった。恐れることがないということは、自分の実力よりも強いわけではないということだと彼は考えていた。


 先ほどよりも素早い動きで、宙を移動して、龍樹を殴り飛ばそうとしていた。しかし、悪魔がどれだけ身体能力を上げようとも、風の膜を破ることができなければ、その攻撃が届くとはない。そして、龍樹も相手が強化していることを理解しているため、風の魔気を利用して、先ほどより強い衝撃波を放った。悪魔はその衝撃を受け後ろに吹っ飛んだが、先ほどよりも吹っ飛ばなかった。それで彼が考えているよりも悪魔が強化されていることを知る。だが、彼も全力で魔法を使っているわけではない。そもそも、彼は全力で魔法を使ったことがないため、自分の魔法の実力の上限は知らないのだ。彼の感覚ではまだまだ魔法の出力を上げても自分の体は問題ないと理解していた。全力で魔法を使った時に考えるべきなのは、周りへの被害だろう。


「これでも、まだ私と渡り合いますか。ですが、私は肉弾戦だけが戦闘手段というわけではないのですよ」


 悪魔は掌を彼に向けた。掌の前に小石程度の大きさの土塊が出現して、それがあっという間に大きくなる。悪魔の体よりも、もちろん龍樹の体よりも大きい土の塊になり、それが彼の方へと移動していく。その速度はゆっくりだが、それに人間が当たればひとたまりもないと感じるのは、考えるまでもなくわかることだろう。騎士たちやベルシャインが、龍樹に視線を向けて、騎士たちの中には彼を守ろうと移動し始めるものもいた。しかし、彼らが龍樹の元まで走ったとしても、魔法が彼に届く方が早い。魔法は確かにゆっくりだが、その距離は短いのだ。


「貴方がそこらの人間でなければ、崩せるかもしれませんが、魔気は消耗するでしょうね。どうですか、騎士たちから学んだことを実践に移してみました。消耗を待つ戦法を真似て殺される、どうでしょう。屈辱ではないですか?」


 悪魔はにやりと口角を上げて、彼を煽っていた。


「……ふっ。煽られる言葉には慣れているつもりだが、これほど冗談に聞こえるものはなかったな」


 彼の言葉は悪魔の耳には入らない。彼も悪魔と同じように口角を上げてにやりと笑っていた。今の悪魔はまるで、キャンキャン吠えて自分を強く見えせているようにしか見えなかったのだ。

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