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騎士VS古い悪魔 5

「失礼するっ!」


 騒々しく図書館の扉を開いて、ベルシャインとベアトリスが中に入っていく。龍樹小鳥はその声が聞こえた時にはうるさいなと思ったが、二人は王族関係者であり、礼儀も一般市民とは比べ物にならないほど、叩きこまれている。そして、小鳥はともなく、龍樹は二人が図書館でなくとも、王宮で大声を上げるとは思えなかった。それと、この王宮の門の方で何か起こったことは彼も知っていた。それを合わせて考えれば、この図書館に二人が来たのはその門で起こっていることの話だろう。そして、この図書館には二人以外にはここを管理する司書くらいしかいないはずだ。それを菅賀れば、二人がこの場所を訪れたのは、自分たちに用事があるからだと推測はできた。しかし、龍樹は自ら動く様子はなかった。


 龍樹は動かなかったが、小鳥がベルシャインの声を聞いて、本から顔を上げた。そして、ベルシャインの声と共にベアトリスの声も聞こえてきていた。小鳥はその声を聞いて、本をその場に置き、席から立ちあがった。立ち会があると同時に、龍樹に視線を向けて、付いてきてと目で訴えていた。彼はそれに逆らうことはできずに、彼も立ち上がって彼女が歩いていくのについていった。


 図書館の入り口の方へと行くと、そこには声でわかっていた通りの二人がそこにいた。その二人は龍樹たちに気が付くと、駆け寄って近づいた。


「ああ、ここにいましたか。早速で申し訳ありませんが、助けてくれませんか。この王宮の門の辺りに、古い悪魔と呼ばれる敵が来ています。今は騎士が相手をしていますが、伝承上ではこの国の、いえ、この世界の人間では敵わないとされている悪魔です。ですが、お二人なら、この世界の者ではないお二人なら勝つことができるはずです。今なら騎士たちも援護してくれるでしょう。どうか、お助けくださいませんか?」


 龍樹はその言葉に多少心を動かされていた。それは既に何かしらの緊急事態になっていることは察していて、その緊急事態をどうにかしたいと多少考えていたところもある。さらにベルシャインとベアトリスに頼まれれば、多少恩を返すことになるだ折る。反対に断れば、恩知らずということになる。ベルシャインたちがそう思うことはないだろうが、龍樹自身はそう思ってしまうのだ。ここまで短くはない付き合いで、彼のことはただの知り合いと割り切ることはできなかったのだ。だが、彼の心の中で一番優先するべきは小鳥。彼女を守る位置にいられないとなれば、彼は自身の考えを実行するするつもりはなかった。


「小鳥は、私たちが守ります。すぐにファベルも合流します。だから、どうか、私たちをお助けくださいませ、付き人様」


 ベアトリスが綺麗な角度で頭を下げた。その姿勢には誠意を感じるほど洗練されたものだった。それはそう教えられたからそうやっているわけではなく、彼女の本心からそう言っているように、龍樹にはそう感じられていた。小鳥も二人の姿をもちろん、彼の隣で見ていた。しかし、聖女として召喚された彼女だが、未だに戦闘能力は皆無で、それ以外の力も未だに自身で理解していない。そんな彼女が二人の願いを引き受けることはできなかった。頼りになるのは義兄だが、この世界の人で敵わないほどの敵であれば、義兄も無事ではいられないかもしれないということになるだろう。だから、龍樹にいつものように、わがままを言うように、簡単に頼むことはできなかった。


「……絶対に小鳥を守ってくれるか? もし、俺が死んで、この国を守れなくても、小鳥と一緒に逃げてくれるか? お前たちがそう約束してくれるなら、その悪魔と戦ってみよう。ただ、勝てるかどうかはわからないが」


「貴方は死ぬ前に退いてもらいます。だから、最悪の場合でも小鳥と逃げてもらいますよ」


 ベアトリスが真面目な顔をしてそういった。どういう作戦で戦おうとしているのかわからないが、ベルシャインも同じやり方を支持しているらしい。彼の揺れていた心が二人の言葉によって、その方向を固めた。それはこの国を守るという方向だった。


「門の方へ行きましょう。まだ、騎士が戦っているはずですから」


 ベルシャインとベアトリスが、図書館の扉を開けると、廊下には既にファベルが近づいてきていた。彼女も合流して、五人で門の方へと走って移動する。小鳥は走るのが苦手であったため、ファベルが彼女を横抱きにして走り始めた。戦闘能力はないが、侍従には力仕事もあるのだろう。小鳥一人を抱えても、全くその走りに衰えはなく、皆の速度についてきていた。


 長い廊下を走り抜ける。廊下では誰ともすれ違うことはなく、既に王宮に人はいないのではないかと思えた。そして、王宮の入り口に近づくほど、人の声と金属がぶつかるような音が皆の耳に届いていた。

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