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古い悪魔 1

 カルトたちが建物から出て、ハルエラを置いて、カルトたちが町を出たところで、町の方から爆発音が聞こえていた。


「やっぱり、出てきちゃったみたいだね。僕らはさっさと逃げようか」


 カルトの周りには白いローブが五人いた。ギブラッドとの戦いで多くのカルトの教団の人間は死んでしまった。未だに町に転がっているかもしれないが、彼はそれには興味がなかった。彼は自身を信仰するのを勝手にさせているだけで、彼自身が教団という組織に執着があるわけではなかった。彼が大切にしているのは、今一緒にいるその五人だけだ。


「では、行きましょう。次の町にはどれくらい居れますかね」


 彼らは既にいままでいた町には興味がないようで、彼らは次の町へと足を向けていた。




 ハルエラがギブラッドがいた建物から出てきたときには、既に朝日が昇っていた。夕方から夜まで外にいて、この時間になるまで掴まっていたということだろう。彼女は両親を心配させていると思い、家に帰ろうと、建物に背を向けた瞬間、彼女の後ろにあった建物が大きな音を立てて、崩れた。幸いにも彼女はある程度建物から離れていたため、被害はなかった。彼女は音と衝撃に反応して、後ろを振り返る。ギブラッドの建物が全壊していて、瓦礫がころころと転がっている。埃が舞っていて、瓦礫の影が見えるだけで、他には何も見えない。彼女は先ほどの男性が言っていたことを思い出して、その場所から全力疾走で逃げることにした。瓦礫は未だに多少の音を立てているが、彼女はそんなことも気にせず路地の中を走り、大通りに出た。朝日が出る時間帯には既に人が出てきていた。あまり人はいないが、彼女が必至の形相で路地から出てきたところを注目されていた。彼女は周りのことも気にせずに、家まで走っていた。




 倒壊した建物が出した音は、もちろん、周りの建物の人にも聞こえていた。何事かと思い、目を覚まして、倒壊した建物を、窓から見ている者もいた。埃も収まりかけていて、ただただ建物が全壊しただけかと思ったが、そこに残っている瓦礫が動いた。瓦礫の中から手が出てきていた。その色は肌色ではなく、薄紫色。瓦礫の中から出てきたというのに、その腕を覆う、この町の人が見たこともない黒い服は少しも汚れていない。腕を瓦礫の中について、体を引っ張り出す。赤い髪が最初に見えて、鋭い目の中には黒い瞳があった。整った顔ではあるが、その顔色はとてつもなく悪く、人間ではありえない色だろう。それが瓦礫の中から出てくると、特に汚れてもいないのに、服をはたいていた。


「ふぅ。困りますね。こんな場所から蘇るとは」


 彼は路地の中の狭い空を見上げてそういった。


「さて、蘇ったのはいいのですが、ここはどこでしょうか。とりあえずは、この町を支配するべきなんでしょうね。というか、あれからどれくらいの時間が経っているのでしょうか」


 彼は独り言を言って、状況を整理していた。情報があまりに少なく、自身の置かれている環境の全てがわからない。彼はとりあえず、情報を集めるために歩き出した。


 彼の格好はこの国の人は誰もわからないだろうが、そこに龍樹たちがいれば、その格好を理解していただろう。彼は黒い軍服を着ているのだ。方には金色の装飾があった。帽子はなく、帯剣もしていない。彼の奇異な恰好は、町の人の視線を集めるだろう。彼はそんなことは構わずに路地の中を歩いていく。


 路地に出ると、そこには人が歩いていた。この国の人にとっては当たり前のことかもしれないが、彼にとっては新鮮なことだった。


(人間がこの大きな村を作ったということですか。生きることに必死なところは変わっていないようですが、中々発展しているようですね)


 彼は辺りを見回して、人と周りにある建物を観察していた。それだけで、彼にとっては新鮮な情報だった。彼が封印される前は、こんな建物なんてものはなかった。そもそも、人間の集団といってもせいぜいが三十人程度で、滅ぼすのは簡単だった。しかし、この状況になれば、全てを破壊するのは難しいだろう。これだけの文明の発展をしているのだから、一筋縄で全てを簡単に破壊させてくれるわけではない。


 彼は周りを見ていて、人間が何かを作っているのが目に入った。彼の知識の中にはなかったが、その人は料理をしていたのだ。昔は人間が作っているものに対して興味がなかったが、ここまで発展しているとなると、話は変わる。彼はそこに近づいていった。近づくたびに、いい香りが強くなる。


「すみません。それは何でしょうか」


「ん? すまん、まだ開店してないんだ。これができたらまた来てくれ」


 店主は彼の見た目を見ずに適当にあしらっていた。料理は商品なのだから、誰にも邪魔はされなくないというのわかるが、今回ばかりは、彼の行動は間違っていた。

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