プロローグ 4
クエストの地、そこで三光が最初にやったのは動作確認だった。先程は何も出来ずにやられてしまったが今度は傷薬も沢山ある。チャット機能や挨拶など沢山の機能や動作確認を一通り終わらせ、メイン画面に戻るとまたしてもバハムートは瀕死になりかけた。
「傷薬持ってきたから大・丈・夫!!」
傷薬でささっとHPを回復させるが紫色のゲージだけはどうにもならなかった。毒状態なのだ。先程試したばかりの走り回る行動をしながらひたすらAボタンで採取をしてき、薬草を使いながら毒が切れるのを待った。
「誰だよ毒にしたやつ~~。」
突っ立ってた自分のせいだと三光は絶対に思わない。ようやく毒も切れ周囲のプレイヤーの行動を見ながら目的であるキノコがありそうな所に向かい、カンニングをしながらだがなんとかクエストクリアすることが出来た。
町長からのご褒美はなんと傷薬と解毒剤だった。
「今じゃない!行く前に頂戴よ!!」
それから数回収穫祭が続き、ようやく勇者らしく武器を持ってのクエストとなった。そう今までは武器がなかったからモンスターに出くわしても蹴るか逃げるの二択だったのだ。
勇者に必要な武器の選択。それは今後の戦い方を決める重要なものだった。途中で武器の変更も出来るが、一度決めると強者でもない限り結局は慣れた武器を使い続けることになってしまう。だから武器は慎重に選ばなければいけないのだ。
「剣か弓か銃か手裏剣か魔法かぁ。剣にしてエクスカリバー持たせてあげたいけど、長距離戦闘でもままならないのに近接戦闘とか即死フラグ立ちすぎだよ。長距離なら弓か銃か魔法だけどバハムートに魔法は合わないし銃かな。銃に慣れてきて余裕がでればエクスカリバー目指して剣にしよ。」
そう決めた銃だが操作方法はAを押せば切れる剣と違ってまず構えるところから操作が必要な難しいものだった。厳しい教官の元でようやく構えることに成功したバハムートに次に課せられたのは弾のチャージ法そして弾の変更法だった。
「もういいよ。わけわかんないよ。」
複雑な操作に三光は泣きそうだった。そして終いには銃を諦めて剣へとさっさと持ち替えた。
「やっぱ剣だよね!!挑戦を恐れちゃダメだったわ。」
思った通り一般的な攻撃は剣の方が楽で、剣の指導は早々に終了した。武器を装備しての初めてのクエストはスライム退治だった。収穫祭で散々お世話になった場所に行き今度はスライムを倒すのだ。剣を構えてスライムを撃つそれだけの話なのだが問題はその剣が当たるかということだった。3分の2の確率でスカをし続け自分の攻撃よりスライムから受ける攻撃の方が多い気がしてきたころ、初めて初回に毒にされた相手がこのスライムだと気付いた。
【Game Over】
「…。スライムなんて嫌いだ。」
やはり近接戦闘は駄目だと思い装備選択で先程諦めた銃を再び手に取った。教官から再び同じ説明を聞き何とか弾の入れ替えを乗り越え教官から解放されて再び先程のスライムの元へと訪れた。
「ここであったが100年目!」
※注意:これはボス戦ではない。装備を試すために用意されたか弱いスライムとの戦いなのだ。
スライムから逃げ回り十分な距離をあけて銃弾を打ち込むと、カツンカツンと弱い音と共に【ー1】ずつスライムのHPを削ることに成功した。剣の時に【ー5】のダメージだったのが嘘のような弱い攻撃だったが今のバハムートは安全第一だ。やっとの思いで倒し終えようやく次のステップへいける、そう思ったのにこの世の中そんなに甘くはなかった。