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プロローグ 3

今までのキャラ名でいいのだろうかと思ったのだ。

「新しい名前にしよ!となると【night】は欲しいよね。騎士【Knight】とかけたいし【Dark night】?なんか悪役だな…。でも黒っぽいのはかっこいいなぁ。もういっそのこと諦めて夜に出そうな黒龍のバハムートにしようか。よく使われる名前だけど今日開始だからまだ使ってる人いないかもしれないし。でも元は巨大魚だから弱いか…?いやいい!これにしよう。」

 黒龍の姿をしたバハムートを背景に自分の作ったキャラクターがいることを想像するとこれしかないと確信した。なんといってもこのキャラクターがかっこよく見える名前なのだ。

「職業は、なにこれ?釣り人とか農家とか謎なんだけど…。いややらないからね?職業選択の自由は尊重するけどバハムートは勇者だからね?エクスカリバー持たせたいのに釣り人とかないわ。エリアは何処でもいいけど初心者向けの町からスタートかな。攻略出来たら移動しよ。」

 全ての設定が完了したバハムートが胸に手を当てお辞儀をした。

 こうしてバハムートの冒険が始まった。一通り町民への挨拶が終わり町長から最初のクエストが課せられる。

【秋だ!山だ!キノコ狩りだ!!】

 そんな雑なタイトルにすっかり忘れていた今の季節を思い出して三光笑ってしまった。季節にマッチしたそのクエストを受注して、いざキノコ狩りに出かけると既に多くのプレイヤーがいた。同じように今日始めたプレイヤーたちだ。そんなプレイヤーの様子を見ながらバハムートも他のプレイヤーとお揃いである初期設定のダサい服でキノコ狩りへと出かけた。

 なんてことだろうか。最初の一歩を踏み出したそれだけだというのに、リアルでコーヒー用に沸かしたお湯が拭きこぼれた。もちろん三光は慌ててコントローラーを手放し、バハムートを放置してお湯の元へと向かった。停止ボタンを押されなかった可哀そうなバハムートは三光が拭きこぼれたお湯を拭いている間ひたすら立ち尽くし、攻撃もしていないのにモンスターに攻撃され食われあまつさえ毒まで浴びせられた。そして三光が戻る頃にはすっかりバハムートは傷つき、あまりのダメージに立つことすらままならずしゃがんでいた。クエストを受注してわずか5分、瀕死状態となってしまったバハムートを三光は唖然と見つめた。

「何故!?!?」

 バハムートの毒状態は刻一刻と進行していきとうとう赤いゲージが残り僅かというところまで来ていた。

「傷薬!傷薬!!ってボックスになにもないじゃない!!初期の冒険パックとか入れといてよ!!応急グッズとかさ。」

 こうして可哀そうなバハムート最初のクエストは終了した。


===セカンドワールド 掲示板===

マルコフ:今日俺ヤバイヤツ見ちゃった

ショウタロ:ヤバイヤツ?全身黄色のプレイヤーなら俺もみた

マルコフ:いや装備とかじゃなくてプレイヤー自体が

ピー:どゆこと?

マルコフ:勇者のクエスト早々にキャラ立たせて放置してモンスターに攻撃させてんの

MF:ネット環境かな?

ヨシちゃん:見た!つーかそのプレイヤーそのまま昇天してたwww

ショウタロ:俺も探す!!特徴希望!

マルコフ:白髪褐色肌で顔に傷あり、名をバハムート

ピー:改名で自殺勇者

==================


 そんなことが掲示板に書かれているとは梅雨知らず三光は初めてのクエストが早くも失敗したことに落ち込んでいた。

「キノコ狩り…。ただのキノコ狩りなのに…。」

 そして、なけなしの所持金で傷薬を買い再度クエストへと向かった。


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