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プロローグ 2

 翌日到着したパッケージを開封するその瞬間、子供のように胸が高鳴った。その気持ちをまるでクリスマスの朝の様だと思い笑いながら『セカンドワールド』を起動した。

 オープニング映像は青空から始まった。平穏な音楽が流れ徐々にアングルが地上に降りていき、その地で生活する人々や施設が映し出された。そして急に音楽が変わると共にダンジョンのシーンそしてモンスターに襲われるシーンが流れ、討伐シーンからモンスターを捕獲し最後に歓喜に沸く人々の映像へと変わっていった。

 オープニング映像が終わるとナレーションが「セカンドワールド そこはリアルと隣り合わせのもう一つの世界。今貴方のもう一つの人生が始まりを迎えようとしている」と言い『セカンドワールド』と大きくタイトルが表示された。

 オープニング映像だけでもう大満足の三光だったが本番はこれからで、【New Game】を押すとアバター選択の画面に切り替わった。時々細かくアバターを決めることが出来るゲームがある。『セカンドワールド』もまた細かくアバターを決めることが出来るゲームで主人公の外見や声色まで自由に決めることが出来た。

 三光はそういう時いつも男を選ぶ。女で生きてきて28年分ったことがある。三次元は二次元のように万能ではないのだということだ。例えば二次元なら王子もいるが三次元では職業王子は存在しても理想の王子はいないのだ。だから二次元での推しは直ぐに現れるというのに三次元では推しにはなかなかどころか出会ったことさえない。三光が散々色々な人と付き合って分ったことは、自分の理想の男は自分の中にしかないということだった。

「髪型はツンツンしててショートで色は白かな、あっ!メッシュとかあるといいかも…。メッシュの色は赤!肌のトーンは褐色は固いわね!眉毛はなくてもいいけど、まぁ選ぶならマロ眉かな。目は吊り目は絶対譲れないんだけど、隈ありの吊り目で…凄ッ!!目の中のデザインも選べるの!?とりあえず外見に合う菱形が入ったものにしようかなぁ、後で変えるかもだけど。痣やメイクどうしようかな…。そばかす?…いや傷跡が欲しいからえーっと、うんこれこれ!!モンスターにやられた系キズ跡!!傷の色!?傷に色ってある!?まぁ…、赤が妥当だけどこのメタルってなに?メタリックな傷ってもう中は機械かなんかなの?これも後で変えればいいし、とりあえず試しにメタルにしてみようかな。ほくろはリアルと同じでいっか、目の下に二つっと。アクセサリーは全部購入かぁ…。なくても良いけどピアスは欲しいなぁ。ギフトコードあったっけ?…うんあった!まだ残高あるから使い切っちゃおう。イヤーカフとリングピアスはかたいけどあとは丸いのも欲しいよね。え!?まさかの画像からのデザインカスタマイズもあるじゃん!ちょっと高いけど…。しゃーない妥協したくないし課金かな…。画像を送ってっと、うし三光ピアス!我ながらこのデザイン良いんじゃない!?ついでにLINEの背景に決定しよう!自分の名前が三光でよかったぁ、猪鹿蝶だと愉快な感じになるもんね。」

 作りあがったばかりの全身の画像を見た時、あまりに理想とするキャラクターで三光はときめいた。本当にこんな人間いればいいのにリアルは虚しいと三光はしみじみ思った。

「あとは声か。…うわぁ…有名な声優さんばっかじゃん!この声選択の画面ずっと開いていたい。ボイス配信したりディスクで出さないかなぁ…。おはようとかおやすみボイスが欲しい!あっでも推しはこの声かな!!この声は生涯の推し。」

 何度も何度もリプレイで同じ声のボイスパターンを聞き続けて、終いには録音してようやく三光は満足した。

「進まない!!でもあと一回!!」

『早くしろ』

「はい、分りましたw」

 ボイスと調和のとれた会話ができて大満足でようやくアバターが完成した。

 だが次の設定にある名前という表示で三光はまた止まってしまった。


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