第3話 黒の女王・黒の災厄の話
私はその世界を守る。
その強い思いを抱えて生きてきた。
それは、生まれた時からの、使命。
私は大きな使命をになっていた。
人々の命は尊い。
人々の笑顔は宝物だ。
だから、それらを守るために、ずっと戦って来た。
その世界は、他の世界から侵攻をうけやすい世界だったから。
遠い昔に呪われた影響だろう。
私の世界は、何度も滅びに瀕した。
けれども、そのたびに私が守ってきた。
これからもそうなると思っていた。
そうなれると思って来た。
何度危機が訪れても、大丈夫だと、そう思い込んでいた。
この世界は他の世界よりも暗がりで、温かみの少ない世界だ。
そのため他の人がみたら、みすぼらしくみえる。
世界各地の発展も少ないし、特別な魅力が感じられなかったのだろう。
ほんの数年前にきた別の世界の勇者などは、守る価値もないと言った。
けれど、私はそうは思わない。
どんな世界であっても、そこに生きる人達は必死なのだから。
誰かに壊されていいわけがないのだ。
平穏を脅かされていいわけがない。
真っ黒な並みの中、そんな暗がりの世界の中、光に集う者達を見て、私は決意をする。
絶対に私が守り通して見せる、と。
そして、運命の日。
白の女王がやってきた。
全てを凍らせる凍てつく嵐を伴って。
私達は全身全霊をかけて、この災厄にあらがった。
別の世界、もしもの世界の私達の手を借りるという反則までして。
結果、私達は白の女王に打ち勝つ事ができた。
けれど最後に負けてしまったのだ。
最後の最期に油断してしまったのだ。
白の女王の嘆きをきいて、可哀そうにと思ってしまった。
情けをかけてしまった。
そして、世界は崩壊してしまった。
どんな世界にも守る価値がある。
誰の平穏だって脅かされていいわけがない。
それを敵にも適用してしまったから。
私は、失敗したのだ。