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いずれ訪れるディストピア  作者: あまみや
3/3

再会

 見た瞬間、言葉を発することができなかった。


 まさしく女の予言通り、再会を果たしてしまったからである。


 「昨日ぶり」


 とりあえず、挨拶を返しておくことにした。どんな奴でも挨拶を返さないことは失礼になるという母の教え故である。


 それにしても昨日のことが気になる。とんちんかんなことを言っていたとしても、大男を抱えていたことと気絶させられたことは事実である。


 「君と会った後なんか意識とんだような気がしたんだけど、……なんかした?」


 「なんか疲れていたみたいで、気絶したみたいに寝始めたよ」


 クスクスと笑いながらしゃべる。まるで子供がいたずらを企んでいるような表情である。まるで信用できない。


 だが、昨日初めて会った時とは印象が少し異なる。昨日は冷徹さが正面に出ていたが、今は誰でもウェルカムのような雰囲気だ。まさしく年ごろの女子といった感じ。


 次に何を聞こうかと考えていると担任と思わしき男が教室に入ってきたために、女に対する質問タイムは中断を余儀なくされた。


 教室では各自の自己紹介が出席番号順に始まる。


 女の名前は、西宮沙織というらしい。趣味は手芸、猫派という。


 この時点で、犬派である僕とは相いれない存在であるということが分かった。


 その後、学校の時間割や部活動紹介が行われて一時半辺りで解散となった。


 カバンを机に上げ、変える準備をしていると西宮が話しかけてくる。

 「今日暇?」


 「暇じゃないし、そもそも関わりたくない」


 そう言うと、少しふてくされたような表情になる。


 「暇でしょ、透夜は」


 少し馴れ馴れしい気がする。だが実際問題、部活動見学などで忙しいのだ。


 「まあ、最初は断られるって決まっていたしね。……はっきり言われると傷つくけど」


 そう言われると少し後ろ髪を引かれる思いになるが、高校三年間の生活を豊かにする部活動見学のが重要である。なので、教室をそそくさと出ていくことにした。


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