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カイン王子視点

ちょっとだけ黒い王子の回です。

 私は産まれたときから前世の記憶というものがあった。


成長し拙い言葉で前世の記憶を口にすると、困ったように微笑む乳母の顔を見て前世の記憶は記憶の奥深くに沈めることにした。


12歳の時に公爵令嬢との婚約が決まった。

通常より早い婚約ではあるが母である王妃が押しに押したらしい。


まだ社交界デビューしていない令嬢に会うことはできないが、絵姿を母が見せてくれた。


成長したら美女になること間違いなしの紺色の髪の少女が描かれていた。

満面の笑みを母に向けると母もご満悦のようだ。


 幼い頃から前世の記憶は記憶の奥深くに沈めていたが、ここは前世での「恋はピンクマーガレットと共に」という乙女ゲームの世界のようなのだ。

紺色の髪の公爵令嬢との婚約もゲームの内容と同じで、やはりそうだったかという気持ちが強い。


実は「恋はピンクマーガレットと共に」は、前世でかなりやり込んだ乙女ゲーム。

セーブデータを壊したのは自分なので歳の離れた妹に逆らえるはずもなくせっせと全ルート攻略をやったのは懐かしい。


あの婚約者の紺色の髪の少女こと、ローズマリー嬢は悪役令嬢として各ルートに登場する。


全ルート攻略をやりこんでいくうちに、毎度毎度登場するローズマリー嬢が可愛く見えてきた。

婚約者のいる攻略対象に言い寄る(ヒロイン)より、自分のためじゃなくいつも誰かのために動いている(悪役令嬢)の方がいいに決まってる。


ローズマリー・サファイア推しとしては婚約は大変望ましい。ただ、ローズマリーが「王妃」の座に固執して私自身を見てくれないのは困る。固執する一因として彼女の母マリエッタ様の不治の病、そして14歳の時に亡くなられていることだろう。


ローズマリーが学園に入学する頃に特効薬が開発されたので、あと数年早ければと彼女の父であるキース・サファイア公爵が涙していたスチルが思い出される。


たしか薬学研究所が特効薬の開発に成功したはず。

探りを入れてみると資金難で研究が進まないらしい。いくつか進めている研究の中でも彼女のお母上が患っている不治の病の研究を最優先にするという約束のもと、第一王子としての個人資産から出資することにした。万が一に備えてあんなことやこんなことして貯めておいてよかった。


 出資から2年で特効薬が無事完成した。彼女のお母上も特効薬を手にし完治した。

これでもう大丈夫だろう。私がよそ見しなければ彼女も余計なことはしないだろう。ただあの(ヒロイン)が私以外のルートに行った場合も考えなくてはならない。


そもそもあの(ヒロイン)自体がいなければいいのだ。学園に来て動くようであれば消すことも視野に入れておこう。


薬学研究所への出資は大成功だったので資金は十分にある。孤児院に支援して私の手の者を育てるのも悪くないかもしれない。

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