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最強の能力者、能力を発動する

 三組の前に着いた俺は、早々に扉を開いた。


「俺は一組の剣崎帝人だ。冴羽愛莉に用がある」


 まだ教室に多く生徒がいるが、一斉に俺に視線を向けてきた。


「え、だれ?」

「ほら、なんか新学期に編入性が来るっていう話し合ったじゃん。多分その子だよ」


 ざわつく教室内だが、一人の女子生徒が手を挙げた。


「冴羽愛莉は私だけど。何か用?」


 覇気のない声と表情だが、茶色がかった短髪の少女は美少女と言える容姿をしている。


「少し話があるんだが、いいか」

「すぐ終わるんならいいけど」


 あっさりと彼女は話を聞かせてくれることを了承し、彼女は立ち上がり俺の近くに来た。

 要らない揉め事がないのは助かる。しかし。


「おい、ちょっとまてよ。愛莉に何の用だ」


 突然にガタイのいい男子生徒が立ち上がる。

 隣の冴羽が「うえ」と小さくうめいた。


「何の用と言われても。お前には関係のない話だが」

「関係ないことはないだろうが。こいつとは知り合いなのか、愛莉?」

「沢井、別に何でもないって。今日会ったばっかりだし」


 口ぶりからして彼女と親しい人間なのか? だとすれば言い分は分かる。


「冴羽、こいつはお前の彼氏か何かか?」

「いや全然。むしろ友達でも何でもない」

「じゃあこいつは一体なんなんだ」

「私が聞きたいくらい。なんか彼氏面してきてうざいんだよね」


 俺たちがこそこそと話をしているのが気に入らないのか、さらに詰め寄ってきた。

 冴羽は俺の背後に隠れるように移動する。


「おい剣崎とか言ったな。愛莉に手を出そうとしてるんじゃないだろうな」

「心配するな、ただの野暮用だ。お前が考えているようなことは一切ない」

「だとしても、付き合っている俺を通さずに二人で話っていうのは認められんな」


「お前と付き合った覚えはねーよバーカ」

 背後の冴羽が呟く。


「冴羽は別にお前とは付き合ってないと言っているが」

「それは愛莉が恥ずかしがっているだけだ」

「……話にならんな。話の邪魔だ、とっとと失せろ」

「失せろ、だと? 誰にモノ言ってんだお前」

 沢井は怒りをあらわにして俺を睨む。


 冴羽が俺の制服を掴む。

「言い忘れてたんだけど、あいつ怒らせるのはまずいかも」

 クラスメイトたちも怒った沢井に怯えている。

「うわ、あの編入生沢井を怒らせっちゃったよ。やばくない?」

「不良グループに絡まれた時一人で全員ぶっ倒したっていう話は有名だよな。あいつ死んだかも……」


「っていうわけ。馬鹿なんだけど喧嘩は強いからヒエラルキーも高いし、私も拒絶できないんだよね」


 なるほどな。気が強そうな冴羽が反抗してないのはそれが理由か。

 ならば、話を聞かせてもらうお礼に奴を黙らせるとしよう。


 俺は笑みを浮かべ、挑発するように指を動かした。


「一秒で床に寝かせてやる。かかってこい」

「てめえ殺す!」


 沢井は俺を殴ろうと腕を振り上げた。

 だがあまりにも遅すぎる。まあ能力を持たない人間などこんなものか。


 俺は能力の一つである”加速”を発動させる。

 これは俺の身体速度を極限まで上げる異能だ。

 俺は一瞬にして沢井の背後に回り込むと腕を掴み、床に伏せさせた。


「は? な、なに?」

「あの喧嘩で負けたことのない沢井を一瞬で……」


 普通の人間には見えない速さなので、沢井を含む全員が俺が一瞬消えたように見えたはずだ。


「さて、一秒もかからなかったな。これ以上やっても無駄だと思うが続けるか?」

「ぐうっ……!」

 抵抗するが、腕を拘束しているので絶対に動けない。

 沢井は観念したようにぐったりとした。

「クソ、わかったよ。俺の負けだ!」

 俺は沢井の手を離す。

 彼は舌打ちしながら俺から離れた。



「さて邪魔者は消えたな。これでゆっくり話を聞かせてもらえる」

「君強いね。動きが見えなかった」

 冴羽が驚きもせず、淡々とそういった。

「ああ。それなりに鍛えてるからな」

「そう」

 随分淡白な返事だな。まああれこれ褒められてもうっとおしいだけだからありがたいが。

「話はここではしづらい。人気のない場所に移動したいがいいか?」

「わかった」

 彼女が言うには体育館裏が最も人気のない場所で、公にしたくない話をするには持って来いらしい。

 俺たちは無言でそこへ向かうと、早速話を切り出した。

「君の友達の赤坂唯のことについて聞きたいことがある」

「唯? ああ、君も一年前の失踪事件について調べてるんだ。いいよ、マスコミとかいろいろな人から聞かれてるしね」

「君が彼女の一番の親友と聞いたからな。」


 俺が聞きたいのは失踪した彼女の友人が能力者であったかだ。

 そうならば、この学校で起きている失踪事件もキリングゲームと深いつながりがあることになる。


「変わったところ?」

「ああ。例えば彼女、人と違った個性を持っていたり、得意分野があったりしたかってことだ」


 異能のことを知らない冴羽に友人が能力者であったことなど知るはずもない。

 俺は敢えて遠回しに尋ねた。


「へえ、変なこと聞くんだね。普通は人間関係に困ってたりしてないか、とか心理的なことを聞いてくるのに」

「別に彼女が自殺したとか学校に不満を持っていた、なんてことが聞きたいわけじゃないからな」

「そう。じゃあ、本当に聞きたいのは唯が”異能”を持ってたかっていう話?」


 異能、だと? 


 聞き間違えかと思った刹那、俺の喉元にはナイフの刃が添えられていた。


「あんたも持ってるんでしょ、異能。ーー唯と同じように」






































































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