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最強の能力者、もう一度ゲームに参加する。

「単刀直入にいうが、君たちには殺し合いをしてもらう」


 怪しげな黒いフードを被った男が平然とそう言った。

 

突然目の前に黒い空間が広がったかと思いきや、いつの間にか俺は周りが真っ黒の異空間に飛ばされていた。

俺のほかにもこちらにつれて来られたと見える人々は、混乱しながらフードの男に口を開く。


「い、いきなり何言ってんだてめえ。頭おかしいんじゃねーのか?」

「そ、そうよ! 私さっきまで普通に授業を受けて………。早くもとに戻してよ!」

「混乱する気持ちもよくわかる。だが、逃げることはできない。これは”キリングゲーム”。君たちのような異能力者を集めて殺し合う、特上の娯楽さ」


「お、俺の異能のことを知っているのか?」


呼び出された彼らには共通点があった。

それは何かしらの”異能”があること。

手から炎を出したり目をつぶっている時間だけ姿を消せるなど種類は様々だ。


だが、彼らは自分の他に能力者がいることを知らず、全員が驚いた様子だった。

それだけ異能力者は希少な存在だからだ。


「ああ、そうだ。そして君らが殺し合う姿というのはとても金になってね。こうして能力者を集めてはデスゲームを開いているというわけだ」

「ふ、ふざけんな! 俺は殺し合いなんてしねーぞ!? とっととここから出しやがれ!」

「残念ながらそれは敵わない要望だな。君らが同意しない限り、我々は君たちを解放する気はない。そしてこの場で一時的に同意し、逃げることも敵わない。もしそうすれば、全国に存在する我々の組織が必ず君たちを始末する」


 その場にいた全員がフードの男のセリフが冗談ではないことを悟った。

 自分が今から命を落とすかもしれないデスゲームに参加するしかない。その場を凍りつくような恐怖が支配した。


「んだよ、それ……」

「いや、いやああああっ! お願いだからここからだしてよおおっ!」


 泣き出すもの、その場にへたれこむもの、啞然と口を開くもの。反応は様々だった。

 その景色は十年前と変わらない。

 だが、この状況で俺は一人だけ笑みを浮かべていた。

 俺はフードの男に口を開く。


「では、お前たちを皆殺しにして脱出するというのはどうだ」


全員の視線が俺に注目した。


「……君は剣崎帝人けんざきていとか。それは我々は推奨しない」

「ほう、なぜだ? 追っ手が来るとしてもお前たちを組織ごと潰せばいい。簡単な話だ」

「潰す? フハハ」


 フードの男は蔑むように笑った。


「そのような者は反則者として真っ先に”処刑”することとなる。たまに君のような正義感あふれる人間がいるんだよ。大人しくゲームに参加せず、我々に逆らおうとする者たちがね」


 フードの男はゾクリとするような気配でそう言った。


なるほど、奴はまだ俺を現実を受け入れない初心者ニュービーだと思っているようだ。

俺はすこし奴の頭を冷やさせることにした。


「睨んだだけで相手を殺せる能力に、触れた人間を思い通りに操作できる能力……。まあ、これだけ強い能力者抱えていれば、大体の奴は殺せるかもな」


 フードの男は初めて言葉に詰まったような態度を見せる。

奴らの保有する能力ーーそれは初めてデスゲームに参加する人間が知り得ない情報だったからだ。


「……貴様、なぜこちらの能力を」

「呼び名が”貴様”になったな。上品ぶる時間は終わったのか?」


 俺はジョークのつもりで笑いながら言ったのだが、向こうは理解してくれなかったようだ。

 明らかにフードの男が俺に対する警戒度を強めた。

 ただの参加者ではない、とようやく気が付いたか。


「俺をデスゲームに参加させられた哀れな一般人、と思っているだろう。だが、それは違う。お前たちが俺を招待するように仕組んだのだから」

「仕組んだ……? いったい何を」

「お前たちが殺し損ねた雛が、今頃になって復讐しに来たというだけだ」


あの時、俺は何もできずに大切な人を失った。

そしてひたすらに鍛え続け、ようやく手に入れた。

何者にも越えがたい、圧倒的な力を。


「さて、さっきは組織ごと潰すといったな。あの言葉が冗談ではないと教えてやろうか」


 俺は異能を行使した。

目にも止まらぬスピードでフードの男の眼前に迫る。

彼の顔が驚愕で染まった。


昔みたいにただ巻き込まれただけの子供じゃない。

「俺がこのゲームを終わらせてやる」

俺がフードの男の顔を掴んだ瞬間、奴の身体は砂のように塵となり崩れ去った。


現実世界、そしてデスゲームの運営すら巻き込む俺の復習劇が始まった。

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