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第10話 優美な屍骸

〜ロバート編〜

警察に電話する15時ごろになってもケイトは降りてこなかった。クリスとカルロがドアの外から声をかけ、何の返答もないのでマスターキーを使って中に入り、二人とも青白い表情で階下にやってきた。ベッドの上に頭の右半分が吹き飛んだ女性がいたらしい。着ていた服や体型から、おそらくケイトだということだった。サイレンサー付きの銃を手に握っていたので自殺したのだろう。


ロバートはカルロからマスターキーをひったくるように取り、階段を駆け上がって現場を見に行った。ドアを開けると赤黒い光が部屋を満たしている。窓にベッタリとついた血は部屋の湿気を含んで薄まり、完全に乾き切っていないようだ。外には赤い雪が降っている。ベッドは片側だけ赤黒くなり、ケイトの顔はザクロやベリー系の果物をかじったように崩れていた。


赤く照らされた部屋に、ロバートは一瞬クリスの影を見たような気がした。影はケイトの死体をじっと見つめている。クリスは今1階にいるはずだ。本当にそこに存在しているわけではない。ただの錯覚だろうか。それとも自分の第六感のようなものが映したものだろうか。頬を、じっとりとした汗が流れ落ちていく。


〜イドリス編〜

ラウンジにみんなが集まった。カルロが、ケイトのバッグから館内を撮影した小型のビデオカメラや、抗不安剤のベンゾジアゼピンが見つかったことを話す。自殺したということは、全て彼女が仕組んでいたことなのだろうか。ケイトが持っていた銃の弾が、ジェームズやソフィアの銃槍と一致するなら、その可能性が高いだろう。


ユーシュエンがネットで調べたところ、彼女は銃規制運動のロビイストでありながら、高校生の妹を銃乱射事件で失った遺族でもあるらしい。純粋に銃を無くしたいという遺族としての願いと、ロビイストとして常軌を逸した計画を実行たことが、彼女自身の中で抱えきれなくなってしまったのだろう。純粋な動機が、現実の波に当たっているうちに形を変えてしまったことに、ケイトは気づいてしまったのか。


ソフィアとジェームズが死んだ一連の事件は、銃社会へ向けたメッセージになるのだろうか。イドリスにはわからなかった。NRA(全米ライフル協会)の幹部の娘と軍需企業の人間を殺したのだ。ジェームズとソフィアにはどうやって接触したのだろうか。二人が偶然同じ日にこのホテルに泊まったわけでなく。個人的に接触して、割のいい仕事を与えホワイトブロウに泊まらせたのだろう。ホテルのランク付けの調査や、違法賭博のできる場所の調査で費用をこちらが出すと言えば、口車に乗るかもしれない。ケイトは死んでしまったので真相は不明だが、大体そんなところだろう。イドリスはタバコに火をつけた。

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