夏の足音
草の陰で
みみずとありが合唱をしている
家の中では小さな悪魔が目覚め
大きさの違う星たちが
歓迎の宴を開こうと
細部まで意匠に凝った家を建てる
庭の白い谷に落ちたドラゴンは
風の運ぶ橋に駆け登り
鎧を着込んだ小さな戦士たちは
年老いたうさぎのもとに集う
少し前まで舞っていた
白い欠片はすでに止み
もうすぐ紅い宝石を求めて
旅人たちが立ち寄るにちがいない
こんな時分はどういうわけか
胸につぎつぎと泡が生まれて
キラキラしながらどこまでも
上へ上へとのぼっていく
みみずとありの合唱が
また一段と大きくなった
ああ、どうやら
夏が近い