砂の街ですか?
新天地突入です、ここはすることがてんこ盛り、というか多過ぎて1個くらい落としそう……
place:ネスティア街道・新道:南
「ふぅーっ」
「お疲れさまなの、マスター」
チンッと小気味の良い音を響かせ二刀を鞘に納め、息を吐くと【瑠璃花】が労ってくれる。
「危ない所を救っていただきありがとうございました」
そんなやり取りを潤が交わすなか、かけられた声はまろぶように甘く、聞くものの耳を蕩かしてしまうようなものだった。
「い、いえ、力あるものとしてこれしきの事は、僕がもう少し早く来ていれば彼らの命を落とさずに済んだ、この処分は如何様にも」
ロールプレイ、というプレイスタイルがある、それはゲームの中の自分のキャラクターに、設定を与え、自分で演じることで普段と違う自分になりきる、というものだった。
時代は進み、VRにおいてロールプレイとはある種の必須スキルへと昇華することとなった、前時代的な同じことしか話すことの無いAIしか積んでいないゲームと違い彼らには意思があり、電脳の世界の中だけとはいえ、確かに生きており、彼らと触れ合うなら、それなりの接し方と言うものがあり、それに沿うことで、ストーリーやクエスト上有利になれる、という事実こそが、端的にそれを示していた。
「いえ、彼らは使命として死んでいったのです、なればそこに言う事など何も…ですが、あなたがそれを望むのなら、彼らの想いを、無下にさせないで下さい、私を、お守りください、騎士さま」
特殊クエストEXTRA
《砂漠の王位争奪戦》を受注しますか?
yes no
「ええ、喜んで、貴女の身の安全は保証させて頂きましょう」
示されたクエストを受領する旨を伝え、恭しく頭を垂れる、ロールプレイを保ちながらも思考はクエスト内容の考察へ、クエストの名称、相手の態度、周囲の状況やプレイヤー達の躊躇のなさ、全てを考察し可能性を挙げていく、そして最後に残った結論は……
「他の継承権保持者と争って王位に据えるところまで、か」
「どうしたのマスター?」
「いや、何でも無いよ…では、参りましょう」
「ええ、お願いしますわ、砂の都、バルバニエスタまで、お連れ下さい」
「ご下命、しかと承りました」
ロールプレイを維持しながら(推定)王女の声に答え、これからの予定について考える、幸いにして今日は金曜日であり、月曜日は祝日だ、クエストの感覚からして相当長くかかりそうではあるがゲームに時間を取られるのは仕方がないと割り切る、であれば考えるべきは彼女を王位に就ける方法であり、他の候補者の勢力を予測することに尽力すべきであった。
特殊クエストEXTRA《王位争奪戦》
第2王子から王女5人を含む第8王子まで、12の陣営に別れてバルバニエスタの王位を巡り争う。
発端は当代稀代の王【ツーニエス=バルバニエスタ】とその長子【シルニエス=バルバニエスタ】がほぼ同時期に死亡し、玉座が空白となったこと、それぞれの陣営に加わったプレイヤーは他陣営を貶め、自陣営に襲い掛かる暗殺者から旗頭を守り、国民の支持及び神の啓示を得た上で旗頭を王位に据えなければならない。
王女の陣営に加わった男プレイヤーには隠しルートとして皇后ルートが存在する。
前王及び皇太子の死因が鍵となるがその手がかりは複数人の王位候補者が保持している。




