生産職ルートですか?
間に合ったー!というかちょっと早めの更新
前話結構さくさく書けたからって調子に乗ってた見たいです、、、そろそろ潤君のチートスキルを回収しに行きたいなぁ…
place:始まりの町、ノルン:ウェキナス服飾店
「あなた少し装備を調えたらダンジョンへいってごらんなさいな、ほら、ローブは特別にあげちゃうから」
そう言ってウェキナスが潤に差し出したのは腰くらいまでを覆うフード付きのローブだった。
◆◇◆◇◆◇
place:始まりの町、ノルン:仁郎坊木材所
ウェキナスから「木工職人と言えばここよん♪」と書いた地図に白目を向きながら向かったのは…極道の人の巣窟でした。
「ワレェなんぞ用かい?」
話しかけて来たのは褐色の肌に白髪の"ボス"じみた雰囲気をぷんぷん漂わせている人、そもそも声にドス効きすぎ、このゲーム声は大していじれないはずなんだけど…
「あ、あの、ウェキナスから木工職人と言えばここ、と聞いて、、、」
「あ"あ"?」
「い、いえ、その、あの」
「ああいや、すまねぇな、あいつが人を寄越すなんて滅多にねぇもんだからよ」
「い、いえ、そんな、とんでもないです」
そこまで言った潤の泣きそうな顔を見て極道の人、もとい仁郎坊仁兵衛がくしゃりと顔を歪めて笑う。
「そんなにびびるな、取って食いやしねぇよ」
「は、はい!すみません!」
しゃきっとなる潤、やはり苦手意識はそうそう抜けないようだ。
「で?お前さん何しに来た?」
ここでようやく仁郎坊が本題を振ってくれた、たどたどしくもなんとか潤が紡ぎだした言葉は…
「弓を下さい、あと矢師の方のお知り合いがいたら紹介して欲しい、です」
「…ああ、すまねぇなお前さんよ、弓は普段作っちゃいねぇからよ、オーダーメイドになるな、まあそう気落ちすんな、この仁郎坊仁兵衛が手ずから作ってやっからよ」
一瞬陰鬱な雰囲気を醸し出した仁郎坊だったが、すぐにそれを取り繕うように殊更明るく振る舞って見せる、どうやら見た目に依らず気遣いの出来る好い人であるようだ。しかし…
「そう、それはわかったけど、その、矢師の人は…?」
「……すまねぇなお前さんよ、今、このNLO内に"矢師"は、いねぇ」
苦渋を絞り出すような声音で放たれたその事実は、潤の平静を一時奪うには十分すぎる威力を持っていた。
「いやっ、だって、弓を使うのに、矢が必要でっ、矢師の人と一緒に成長していくのが、弓使いの本懐だってっ、そんなの、いやっ、いやっ、認めないっ!」
「現実を見ろよ、オープン前のβテストから、オープンしてからの今の2ヶ月、あわせて半年近くも弓の使い方は研究されつくしたんだ、その結果は、全く使い物にならない、だったんだよ、そもそも矢が飛ばない、出費は嵩む、それでも基本の武器スキルすら習得出来ず、辛うじて手に入ったところで威力にしても連射性にしても銃や魔法の方がよっぽど優秀だったんだ。お前さんよ、弓ってぇのはな、はっきり言って…役に立たねぇゴミとしか見られちゃいねぇんだよ。それが悔しいなら、辛いなら矢師が群がってくる位まで、その弓で、戦果を叩き出して見ろよっ」
仁郎坊仁兵衛が、吼えたその叫びは、まるで己の心を全て吐き出すようで、或いは己の心をぐちゃぐちゃに切り裂いてしまうような、そんな悲痛さを伴っていた。
「はは、すまねぇな、ついアツくなっちまった、せめてもの詫びって訳じゃねぇが、ほらよ、[木の矢]99締めと、[良質な木の矢]99締め、[最高級の木の矢]99締めだ、一締め辺り50本、99締めでちょうどアイテムボックス一マスの最大スタック数だ、なに、気にすんな、誰も使いやしねぇ不良在庫よ」
「ありがとう、仁郎坊さん、やるよ、僕が弓の真髄を見つけ出して、その価値を知らしめてやる。きちんとこの矢は活用させて貰うよ。」
「おう、待ってるぜ、なんならお前さん自身が矢師になってもいいんだせ?」
そう言って笑う仁郎坊の笑顔は、やけに心に残っていた。
何でですかね?実は元々潤君もっと良い感じにキレてるキャラの予定だったんですよ、どーしてこんなに残念な子になっちゃったんだか……