大出費ですか?1
なななんと、日間ランキングの、結構上の方に載ったんです、39位ですって!もうありがたさに紅葉は皆様に頭が上がりません。
place:始まりの町、ノルン:ウェキナス服飾店
「はぁー、ふぅ、はぁー」
今現在、ノルン最高の布、革職人であり、NLO内でも五指に入るほどの職人の店の前で溜め息をついたり、気合いを入れたりを繰り返すのはつい先日[初心者殺し]のダンジョンを驚異的な速さでクリアし、本人の知らぬ間に注目を集めているプレイヤー、潤であった。
「…よしっ!」
一声自分に気合いを入れ直しウェキナス服飾店の扉を叩く、ここの主のウェキナスとは共通のフレンドである椿を通じて連絡が行っている筈であり、恐らく出てくるのはウェキナス本人であることも潤の気合いを奪うのに一役買っていた。
「あらァ、潤ちゃん、いらっしゃ~い」
体力吸収は既にあったようだ、ここに………
「あ、いや、オーダーメイドの為のミルスが貯まったから胸当てを注文しようかと思って」
「あらそゥおォ?じゃあちょっと待ってらっしゃい、すぐ用意するわン」
そう言ってウェキナスは腰をふりふり店内へと戻って行った、その様を思いっきり見てしまった潤の瞳からハイライトが消えてゆき、心なしかその美しい紫水晶色の虹彩も彩度を落としているようだ。
そして待つこと2、3分…
「おまたせェ、あなたに似合うように、あなたに最大限フィットするように作ってあるわよ、[黒革の胸当て]、大事に使ってねン」
「あ、はい、ありがとうございます、あとこれ、代金です」
そう言ってトレードウインドウを開き、[黒革の胸当て]と10000ミルスを交換する、そして受け取った胸当ては、
[黒革の胸当て]
DEF+45
閏専用装備
控え目に言って相当な高性能だった、艶のある真っ黒な胸当てに鮮やかな紫の紐、端には控え目に可愛らしいワンポイントが施してあり……外見は完全に女性用装備だった。
「これ、凄く良い装備じゃないですか!…でも、何でこんなデザインなんです?」
「あらァ、モチロン閏ちゃんの魅力を最大限引き出すようにデザインしたからよん、この、漆黒の艶!この紐の紫の深さ!そしてこのワンポイントにあしらったマークが見所よん、あなたの可愛らしさを存分に引き出してくれるわん」
「あ、いや、あのですね、僕は男で」
「大丈夫よん、アタシはあなたのこと、ちゃーんと分かっているから」
「は、はは、ありがとうございます」
確実に分かっていないウェキナスに乾いた声でお礼を告げ、潤は次の職人、仁郎坊仁兵衛の元へ向かった。
(-_-).。o(実はこの黒革の胸当て、ルビが十文字しか振れないから2つに分けるわけで、バランス取るのめっちゃ大変でした………)




