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流れ落ちた色彩の世界で  作者: 海野そら
9/23

1-5 お日様浴びたい

一気に投稿するのはとりあえずここまでです。

あとはもう少しゆっくり…。

2018.03.27*少し編集しました。

 

 さて、日記によるとこの湖のある洞窟は、かなり安全らしい。


 洞窟から出ると動物や魔獣がいるそうだが、ここには出ない。なので、とりあえず洞窟の出口まで歩いて、外を伺ってこよう。

 お日様を浴びたい!



 とりあえず水筒に湖の水を汲んで、チョコバーをひとつ食べよう。



 花畑で栄誉補給しながらこれからのことをぼんやり考える。


 とりあえず…街に出ないと。

 そういえば、小さな袋が日記とともに落ちてきていたな。もしかして、と思い中身を見てみると、そこには数枚のコインが入っていた。


「茜さん…!ありがとう〜!!」


 それを大事にバッグにしまい、水筒を水でいっぱいにした。

 そして、荷物をまとめ、立ち上がろうとした。




 そこで、人の声が聞こえた。



「…ぅすぐ………ぅ…ぞ……」


「……ぁぁ、…………ぅ…だな」



 遠くから聞こえる声は、未だ何を話しているかはっきりとしない。


 こちらの世界の人が…湖に来る?隠れた方がいい?でも…隠れるところもないから、どうしよう。


 だが、動く前にその声の主達は、湖のある広間へと姿を現した。



 顔を上げるが何も言えず、現れた6つの影をただ見つめる。



「え…?なんで…ここに…女の子が…?!」


 驚いたようなその声は、一際大きく体格の良い鎧姿の男性から聞こえた。



「あ……。え………ぁ…。」


 鈴乃は何を言って良いのか分からず、吃るような声が口から漏れた。



「もう!そんな大きな図体でデカい声でいきなり声掛けられたら、びっくりして動けなくなっちゃうでしょ!」


 濃い色のローブのようなものを着た、170cm程の赤毛で気の強そうな女性が、大柄の男性に向かって文句を言う。


 そして、鈴乃に向かって

「あなた、落ち人でしょう?」

 そう、問うた。



「あの…そう、みたいなんですが…。」


 歯切れの悪い答えをしてしまう。



「二人とも。いきなりそんな声の掛け方をしたら、困ってしまうだろう…。私はジャスパー・コーヴァンという。こいつらは銀色猫というパーティーのメンバーだ。君の名前を聞いても構わないか?」


 艶のあるシルバーグレーの髪に、青みがかったグレーの瞳をした180cm程の長身のイケメン男性が言った。


「私は…立花 鈴乃と言います。…あ、名は鈴乃で姓が立花です。」


「そうか、スズノ…。私たちは妹の薬の材料となる薬草を取りに来たのだ。なのであまり落ちついた旅路とは行かないが、近くの街までともに行かないか?」


 ジャスパーさんは静かに言った。


「あの、よろしくお願いします。その薬草採取も手伝えることがあれば…お手伝いしますので…お願いします。」


 おずおずと立ち上がり、6人の顔を見てから頭を下げる。



「よし、じゃあまずは自己紹介でもするか!俺は銀色猫のリーダー、カーティスだ。前衛をしている。よろしくな!」


 明るく、そして響く大きな声で名乗ったカーティスさんは、明るい茶色の短髪がツンツンとして角張った顔立ちの2m近い大柄の重戦士。



「俺はダリル。剣士だ。もし魔獣が出ても俺とカーティスとジャスパーでどうにかするから、安心してくれ。」


 金髪でブルーの目をしたダリルさんは、人懐っこそうなほんのりタレ目で笑う剣士だった。180cm程の背で、腰から2本の剣を下げていた。



「俺はヨルン。斥候としてパーティーにいる。よろしく。」


 言葉少なに挨拶をするのは、緑が混じったようなアッシュグレーの長髪を後ろでまとめている。濃い目の色合いの服装をしており、175cmほどの身長で、短剣と苦無のような武器を腰に装備していた。


 

「私はミランダよ。魔術師をしているわ。よろしくね。」


 そう言ってウインクする姿が様になっているのは、ミランダさん。赤毛をポニーテールにしているスレンダーな猫目の美人で、170cm程度と背が高い。スタッフを持っていた。



「えっと…私はフローラと言います。皆さんの治癒を行います。これでも時々、弓を使って攻撃にも参加しますよ〜。」


 ブロンドで茶色の目をしたふんわりとした可愛らしい印象の女性はフローラさん。胸が…大きく、羨ましいほどだった。

 

「改めて、スズノ・タチバナです。気付いたらこの湖にいました。足手まといにならないように努力します。よろしくお願いします。」


 先程よりは明るく、挨拶をした。

 自己紹介は終わり、顔を見合わせていると。



「では早速だが…湖の周辺で花びらが4枚で銀色をした花を見掛けなかったか?」


 ジャスパーさんはそう切り出した。


「それなら湖の反対側で見掛けました。岩の影にありましたよ。」


「そうか!生えていた場所に案内してくれないか?」


「はい、わかりました。」


「ミランダ、すまない、一緒に来てくれ。」


「はーい」


「カーティスとヨルン、ダリル、フローラはリリウムとプリムーシェを頼む。」


「おう。わかった。」


 そうして、それぞれ採取を始めるのだった。



 鈴乃はジャスパーさんとミランダさんとともに歩き出した。元々、植物や動物が好きで大学で環境学を学んでいたのだ。なので気になっていた不思議な植物やこの湖について聞いてみることにした。


「あの、先程のリリウムとプリムーシェというのは…?」


「ああ、どちらも足元にたくさん咲いている花なんだが、リリウムは薄紅の鈴のような花だ。プリムーシェは薄い青色の花、もうひとつある白い花はアンセミス。目的の銀色の花はパルマタンだ。パルマタンはこの湖でも数が少ないからな…。」


「光る苔は何と言うんですか?」


「それはスファグナム。ここにある植物はどれも薬やポーションの原料になるんだ。」



「……ポーション。あるんだ…。」


 ファンタジーの定番、ポーションが出てきた。驚きとともに少し興奮した鈴乃は小声で呟いていた。


「ねえ、もしかして、スズノがいた世界にはポーションってないの?」


「え?ああ、ええ。ポーションはありませんでした。植物を使った薬はありましたけど…ここにあるものとは全く異なります。」


「へえ…本当に違うのね。」


 そんな話をしながら、銀色の花パルマタンを入手し、再度出入り口まで戻った。


 そこでジャスパーさんが革の水筒に、湖の水を採水した。



「では、そろそろ戻るぞ。」



 この湖に流れ着いてから、ほぼ一日が経っていた。僅かに名残惜しく感じながら、バッグを握りしめ、初めての外に向かい、歩き始めた。



 洞窟では、カーティスをさん先頭に一列となって歩いた。そうして、一時間ほど歩くと、ゴーゴーと水の流れる音が聞こえた。するとそこで視界が開け、暖かな日差しを感じた。




「ああ、外だ…。」





  

洞窟脱出、一段落です。

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