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千載一遇の転校生に俺の潜在能力と繊細さを見せつけてやる!  作者: 楚上川競斗
転校生のお近づきになるために
1/2

序開



ピビピピピ、ピピピピピ、ピピピピピ、ピピピ..


静寂した朝に鳴り響く騒音。

尭景(たかひろ)は目覚まし時計を重々しく止めた。

寝ぼけた目で時計を見ると、7時23分。いつもなら20分に起きるけど、3分遅い。それだけで尭景は嫌な気分になった。たった3分だけど、その猶予で何か出来るんじゃないかという考えが浮かび、尭景はさらに布団からゆっくりと起き上がるようになってしまう。


「おはよう」


「あんた、なんでいっつも20分に起きるの!?もっと早く起きれるようにしなさいよ!」


「うるさいなー、俺はこの時間でも全然余裕だから、」


「はぁ!?だから朝ごはん完食出来ないんじゃない!いいから、さっさと顔洗って、食べなさい!」


お母さんはいつもこんな感じだ。俺にもあれぐらいの強情が欲しいなぁ。と、尭景は顔を洗って、席に戻る。

時間もないし特別美味しい訳でもないので、さっさと食べて制服に着替え、家を出る。


学校は8時までにジャージに着替えて着席していないといけないので、大体7時55分ぐらいに着けば間に合う。

誰にも会わずにいつも通りの道を歩き、信号に捕まりそうになったら走る。ギリギリだけど、それでいつも間に合う。友達の話を適当にすり抜けながら着替えて、席に座る。先生は来るけど、この時まだ座ってない人は何なんだ、と思う。


っていうのがいつもの流れなんだけど、今日は定刻になっても先生は来ない。先生がマイペースなせいだろうか。おかげで、周りの奴らはまだ大声で喋っている。うるさいし早く座れよと注意したいが、そんなみんなに聞こえるような大声で注意することは到底自分には無理なので黙って朝読書。

しばらくして真面目な学級委員がうるさい、もう読書の時間だから座って、と促してくれたので教室は一気に静かになった。


こういう面を見てると思う。結局のところ、女子の方が気が強くて説得力もあるし守られて、得することばかり。俺も女子だったら楽だったのになー。


そんな単純な事で思い付いた願望を唱えていると、読書の時間が半分ぐらい過ぎたころだろうか。ようやく先生の姿が見えた。

しかし、ここでも先生は廊下で何やら立ち止まってしまった。遠くから凝視してみると、どうやら誰かと話してるらしい。その人は制服を着ていて、多分他クラスの子だろう。何か問題でもあったのかと多少気になったが、所詮他人事なのでスルーして再び読書だ。


朝読書の10分間が終わって鳴ったチャイムと共に、先生は教室に入ってきた。急ぎ口調でごめん、遅れた、じゃあ始めよう、となぜか少し焦っているようにも見えたが、朝の会を始める。すると、どうしたことか先生は、点呼を 休みはいるけど、電話もらったしみんないつもみたいに元気そうだから大丈夫だね、という滅茶苦茶な理由をつけて飛ばしてしまった。ま、確かに元気でも元気じゃなくても先生には影響は無いからね。ああいう自由な人だからね、彼は。心の中でその適当っぷりを皮肉っていると、先生はさらに


「今日はとても重要な事があるので、連絡事項はなしで。」

と、またしても怠り、飛ばす。 え、本当になんなん?と呆れと怒りと疑問が混合した複雑な気持ちになっていると、


「えっと、急で申し訳ないですが、今日からこのクラスに新しい仲間が加わります。どうぞー。」

軽々しくも少し昂った先生の言葉と共に、1人の女子が入ってきた。


その瞬間、教室の時が止まった。今まで喋っていたり半寝だった人たちが、みんなその方向を見て凛としている。

尭景も彼女を見ると、今まで騒めいていた心が、急激に静まった。いや、また別の意味で騒めいていた。

彼女の美貌さと、卑猥なところに陶酔されて。

尭景の中で、自分が経験したことのない気持ちが生まれたような気がした。





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