真世界
不完全な世界で、再び僕らは出会った。
29××年何者かによって、真世界・リセットワールドが作られた。すべての人の罪を消し、やり直すことの出来なかった人生をリセットし、新たな人生として生きていく。罪を犯していない者の記憶は消され、罪人のごく一部の記憶は残る。そして、罪人には呪いをかけられた。軽いようでとても重く、とても重いようで軽い、複雑で死ぬまで逃れられない、いや死んでも呪いは解けることのなく永遠にその者を苦しめ続ける。だが、この呪いをかけられたのは何百人もいる中のごく一部。そう、記憶を消されていないごく一部の罪人にだけ。その罪人は、シエルドという街で人を殺し、監獄に入れられては脱獄を繰り返した10人の罪人のことだ。罪人にかけられている呪いは判明しておらず、ましてや罪人がいることも、この世界が作られたことも誰1人知らない。10人の罪人を除いて。罪という存在はこの世界ではなくなっていた。罪人達は罪から逃れられても、呪いからは逃れられない。だからこそ、この世界で罪を犯せない。この平和に思える世界でも、誰も知らない、この世界でたっおた1つの最も大罪とされる罪がある。その罪はーーーー
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それは、小さい頃の自分。はしゃいで走る僕と茶髪の少年。誰だっけ?思い出せない。すぐ近くにいたはずなのに…
その人は誰?男の人が目の前で倒れている。服がだんだん赤に染まって行く。これは何?鋭い刃がついている。これも赤で染まっていた。
ここはどこ?暗くて明かりもない。太陽の光もない。鉄の棒があって、抜け出せない。どうして?鉄の棒の隙間を覗くと広い通路を挟んで向かい側には、人がいた。あの人も鉄の棒があるから出れないんだ。でも、どうして僕はここにいるの?菱岐はどこ?皆はどこ?
これが僕・武守 茜の夢の中で毎日のように繰り返される。
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