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3分の1~あの夏を目指して~  作者: 一般人々
0章プロローグ
3/9

3年ぶりだね

次の日。


右肘に痛みを感じてすぐに近くのいつも行っている接骨院にお母さんと行き、肘の様子を見てもらった。


「う~ん。野球肘だね。」

「やっぱり...」

「先生野球肘と言うのは?」

「簡単に言うとボールを投げる時にかかる肩や肘への負担により起こる痛みですね。ですが、幸いにも痛めた次の日に来たということもあり、比較的軽度の症状です。後、当然完治までは投球は禁止です。」

「先生完治まではどれくらいかかりますか?」

「そうだねえ、半年もかからないと思うよ。それに今は引退してるから筋トレやストレッチなど体幹を鍛える事を主眼においてできるというのがいいね。正直フォームだけでなくそういったことも鍛えていったほうがいいと思うよ。」

「そうですか分かりました。」


先生の言っていることは正しいし間違ってない。

でも、あの事故以来初めてこんなにボールに触りたいって思った。

できなくなったから初めて知った本当の気持ち。

俺はあることを決心した。


家に帰り、リビングにお母さんと向かい合い、おもむろにお母さんは口を開いた。


「慎二怪我は辛いとは思うけどめげちゃいけないよ。お母さんも協力するから一緒に頑張ろうね!」

「大丈夫だよ。それに怪我をしたからこそ知ったことがあったんだ。お母さん俺さ野球がしたいよ!あの事故からなんとなく野球やってきていたけどやっぱり野球が好きなんだよ!だからこの怪我を治して俺は白明高校に行って精一杯野球をするよ!そして甲子園に行くんだ!」

「そっか、うん...うん頑張りなさいよ!」


お母さんは目に涙を溜めて何度も頷いて応援してくれるって言ってくれた。


「ありがとう。」

「さて、そうと決まったら推薦のこと先生に言うのと今日の夜お父さんにちゃんと言わないとね!」

「うん。そうするよ。」


その後お父さんにも同じ話をしたらお母さんと同じように頑張れよって言ってくれてそっと肩に手を置いてくれた。


その日の夜。


「99、100!ふう。筋トレ終わり。きっつう。」


先生に言われたメニューを一通りこなしベットに横になっていた。


今までここまで筋トレを慎二はしたことがなく、まだ十時過ぎだというのに慎二はうとうとしていた。


「おっ!慎兄だ!うわあ流石に三年も会ってないと変わってるねえ。」

「そうですね。全く誰のせいで三年も色んなところをほっつき歩いてここにたどり着いたと思ってるんですか!」

「えへへ~ごめんね。いろんなとこ見てみたくてさあ。」

「はあ...全く三木也は。」

「っ!!」


聞き覚えのある声が聞こえて俺はさっきまでも筋トレしたことによって起きた眠気が一気に引いておもわず飛び起きた。


「和兄?三木?」


俺が会いたくて仕方ないけど、もう絶対に会えない二人の名前を呼んだ。

しかし何も返答が無かった。


「ま、そうだよな気のせいだよな...俺疲れてんだなあ~こんな幻聴を聞くなんて。」


わかっていたけれども、声が聞こえて一瞬でもしや?と思ってしまった俺はおかしいとは思わないだろう。


「ねえ和兄。」

「なんですか?」

「今の慎兄の反応ってさやっぱあれだよね?」

「ええ、あれですね。」

「だよね!聞こえてんだよね!!」

「やっぱり聞こえる?また幻聴?」

「「幻聴じゃないよ(ありませんよ)慎兄(慎二)!」」

「和兄、三木!?」


俺のポロって出た疑問に和兄と三木らしき声から返事が返ってきた。


「じゃあやっぱり二人なの?」


俺の目に涙が浮かんできた。

死んだとわかっていてても、幻聴なのかと思っていても声が聞けたことがとても嬉しかった。


「そうですよ私と三木どちらもいますよ。」

「でも二人は事故で死んだんじゃなかったの?」

「いや~それがね死んだんだけど成仏できなくて三年間ずっと各地を回ってたんだよね。あはは。」

「全く三木に付き合わされるのは大変でしたよ。」


そう言うと目の前にいきなり和兄と三木の姿が現れた。


「え?なんで?」

「おや?もしかしてみえるのですか?」


おそらく俺の視点が和兄の顔に言ってるのが気づいたのだろう。


「う、うんでもなんで前より成長してるの?」

「なんかね~よく分かんないけど成長したんだよ!」

「ま、そういうことです。」

「え?えええー!!」


おそらく俺は今年で一番驚いたことに今遭遇していた。


ある夫婦の話。


「ねえ良かったわね慎二が本当に野球をやりたいって思ってくれて。」

「ああそうだねあの事故からもうしばらく経つけど、どこか身が入ってるって感じじゃなく、なんとなくやってるって感じだったからね。」

「そうね。でもあの子もちゃんと前に進んでる。私たちも負けてちゃいられないわね」

「ああ、精一杯応援しような!その為にこれからも一緒に頑張っていって一緒に慎二を支えていこう!」


家族に新たな光と希望が生まれた日でした。

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