♯14 来ないと思ったら負け
ロナが手首を押さえて転げ回って。
「ノォーーーッ!」
まだ見ぬ強敵Eが頭を抱えて膝をつく。
「いやいや、持ったときの重さと質感でわかってたくせに!」
「さてはあんたたちの持ちネタね!」
エターニャとタモちゃんが突っ込むと。
ロナとまだ見ぬ強敵Eが、やった!とばかりに不敵の笑みで立ち上がる。
「ふっふっふ。ツカミはこれくらいにしてやろう!」
「参ったか!」
と割れたスイカをふたりでしゃくり。
かっくいい!
タモちゃんとエターニャは、だるんとなった。
「それで営業してないだろうな……」
タモちゃんとエターニャが突っ込んでくれたのが嬉しかったのか、ロナは自分自身に吹きだしながら。
「ふふっ。改めていくぞ! そーれっ」
ボール爆弾を打ち出した。
今度はオーソドックスな丸い爆弾型のビーチボールになっていて、飛び出た導火線らきしものから火花も出ている。
タモちゃんとエターニャがトスを返して。
おっかなびっくりの打ち合いっこが始まった。
ロナとまだ見ぬ強敵Eは強がりのしたり顔で。
「肝心なのは点を取ることじゃない。いかに長くボール爆弾を相手の陣地にとどめておくかだ!」
「強くスパイクすると爆発するぞ! 気をつけろ!」
チームワークを高め合う。
みな、ゆるーくラリーを続けていたのだけれど。
五分経ってもなにも起こる気配がないものだから……。
「あれぇ、いつになったら爆発するんだ?」
などと、やり始めた当の本人が眉をしかめて言い出した。
「これ本当に爆弾なの?」
「ただのボールだったりして!」
タモちゃんとエターニャが吹きだして抗議すると。
「もう爆発なんてしない気がしてきた」
と、ロナが自棄っぱちにトスした途端に。
どっかーーーんっ!
ごぉーーーっ!
ごわんごわんごわん……!
ビーチを丸ごと巻き込むほどの大爆発!
キノコ雲が空に上がって。
その場にいた全員が真っ黒けになってしまった。
「わっ! なにっ? なにっ?」
気絶していたデッドリィたちも、爆発の衝撃で飛び起きた。
「ごめーーん、火力が強すぎちゃった。きゃはっ!」
と、ロナが黒い息を吐く。
「みんな死ぬわっ」
「あんた、アホでしょっ」
エターニャとタモちゃんが「あたしらよく生きてたな!」と、煤まみれになった体をブルブルさせる。