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♯11 乾坤一擲の迷勝負

「砂浜で先に取った方が勝ちのゲームって言ったら?」


 ロナが赤い棒をフリフリする。


「ビーチフラッグ?」


 タモちゃんがちが頭をかしげる。


「ぶっぶー! ビーチキャンドルよっ!」


 ロナは赤くてぶっといロウソクを突き出した。


「ビーチキャンドルゥ??」


 タモちゃんたちが小首を捻るなか。


 ロナは瞳に炎をたぎらせて。


「熱々に溶けたロウがだらだら垂れてるキャンドルを素手で奪い合うっ! そんでロウを垂らし合いっこして、先に逃げ出した方が負けっっ!」


 キャンドルに火をつける!


「そんなの誰がやるか!」


 タモちゃんが突っぱねると。


「はぁ~ん、救世主って意外と意気地無しなんだぁ」


 ロナはニタニタしながらしゃくれ顔になった。


「意気地が無いのと、おバカなのと、一緒にするな!」


「おバカ……? どのへんが?」


 ロナが顎に手をやり。


 考え込むが――。


「熱々のロウを垂らし合いっこするあたり!」


 タモちゃんが的確に指摘すると。


「若い女の子がロウソクでキャッキャうふふするなんて、パラダイスだよ?」


「おやじかっ!」


「楽しいじゃん?」


「楽しくないっ!」


「しょうがないなぁ。ならばここにジョポンから買ってきた出来立てのあんまんとカレーまんがある。20メートルダッシュして、どちらか好きな方を奪い取り、先に食べきった方が勝ち! これでどうだ!」


 ロナが中華まんを突き出した。


 熱々ほかほかで湯気が出ている。


 タモちゃんは食べるだけならと。


「つまりパン食い競争ね? それなら……、まあ、いいか」


 ロナに首肯した。


「よし! 決まりだっ! ただし魔法は禁止だぞ! 生身で勝負だからなっ!」


「あたしたちが勝ったら、本当にこの島から出て行くんだろうなっ?」


「マジカリスト、ウソつかない!」


 ロナたちが一斉に挙手をする。


 顔はなぜだかウザそうだ。


「本当かぁ……?」


 タモちゃんたちは心配になってきた。


「もう、怖じ気づいたの? 救世主も大したことないな!」


 ロナが憎たらしくあざ笑うものだから。


「なにおう! やってやろうじゃないの!」


 タモちゃんの対抗心が燃え上がってきた。


「タモちゃん、きっとカレーまんがめちゃくちゃ辛くなってるに違いないわ! あんまんを狙いましょ!」


 デッドリィがタモちゃんに耳打ちするのを、ロナがニヤリとほくそ笑む。


 ――そう思うだろ? でも辛いのはあんまんの方さ。あんこの中にぎっしりと激辛唐辛子を詰め込んでいるからな!

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