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♯8 都合がいい魔法

 唇を噛みしめるデッドリィと鈴鹿とはまた別に。


 エターニャがひとり、拳を振るわせて項垂れていた。


「エターニャまでどうしたの?」


 タモちゃんが顔を覗き込むと。


「読者さまはお怒りだぞ!」


 エターニャがクライネの水着を指さした。


「どくしゃさま?」


「豆を食べて体が大きくなるのは、魔法の力だと認めよう。だが! 水着まで一緒に大きくなるのはどういう理屈かっ!」


「そう言われてみれば、そうねぇ」


 タモちゃんの気軽な相槌に。


「巨大化するエピソードによくあるミステリーですよね!」


 半が疑点を付け加えると。


 エターニャは「その通り!」と頷いた。


「読者はきっと、体が大きくなったら水着がはち切れ、いやん!な展開になるのを期待してたはず!」


「それは、考えすぎじゃない?」


「体が小さくなるときは、大きな水着だけが残されて、ムフフな展開にならないと、暴動が起きちゃうぞ!」


「まあまあ、それも含めて魔法の力ってことでいいじゃない!」


 今度はエターニャとタモちゃんが揉め始めたものだから。


「クライネのことで争っちゃヤダ! こんな水着、今すぐ脱ぎ捨てるからーーっ!」


 クライネは紐ビキニの紐を、思いっきり引っ張りほどいたのだった。


 ヤッフー!という歓声(ガヤ)が上がるなか。


「脱がなくていいっっ」


 タモちゃんが慌ててビキニを押さえた、そのとき!


「ねえっ、いま悲鳴みたいなの聞こえなかったっ?」


 デッドリィが皆の注意を引きつけた。


 耳を澄ましてみると。


 幽かな女性の甲高い声が!


「なに、この声!」


 タモちゃんたちがギョッとする。


「あっちの方から聞こえてきたぞ!」


「行ってみましょう!」


 エターニャと半が駆けだして。


 皆も急いで後を追いかけた。


 聞こえてくる声を頼りに砂浜を出て。


 島の中央に広がる密林の中を進んでゆくと。


「見て、あれ!」


 クライネが指さす先に、大きな洞穴が現われた。


 悲鳴のような声はこの中から聞こえてくるようだ。


「島の裏側にこんなところがあったなんて」


「中、真っ暗だよ? どうする? 入る?」


 ためらう鈴鹿とデッドリィのあいだを駆け抜けて。


「中はひんやりして気持ちいいわよー!」


 タモちゃんが洞窟の中へと踏み込んでゆく。


 みなも後に続いて入って行くが。


 奥の方は薄暗く。


 悲鳴のような声が響き渡って、とても不気味だ。

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