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♯1 新たなる門出(試練)

 きらんきらんの星空と。


 果てしなく広がる大地。


 この、どこかで見たことがある場所に呼び出されたのは。


 身長が100センチほどで。


 銀色の髪をした姫カットの女の子。


 チェックのワンピに、キツネ耳のヘアバンドをした、妖術使いのタモちゃんだ。


 そして呼び出した方はというと。


 瑠璃色をした人型の形而下(けいじか)で。


 私たちの宇宙を統べる創造主。


 平安時代の大妖怪・九尾の妖狐、玉藻前(たまものまえ)のタモちゃんを、異世界へと転生させた張本人だ。


 タモちゃんは会うなり腕を突き出して。


「このごろ手の調子が変なんだけど。何か隠してない?」


 創造主の目をじっとりと見る。


「んー? 疲れているだけじゃないかなぁ」


 創造主は目をそらして。


 大きなあくびをしてみせるが。


「はぐらかさないで!」


 タモちゃんの曇り無き眼に耐えきれなくなって。


 瑠璃色の創造主はため息をついた。


「知ってしまってもいいのかい?」


「どうせ一方的に告げるくせに」


「まあ、そうだけど。タイミングっていうものがあるじゃない?」


「話しにくいこと?」


「うーん……」


 創造主の態度が煮え切らないので。


「なんなのよっ?」


 タモちゃんが焚きつけると。


「ちょっと手の腹を見せてくれる?」


 創造主が手を差し伸べてきて。


「突然なぁに?」


 タモちゃんの手の平を熟視したかと思えば!


「ややっ! タモちゃん、手の不具合は成長に伴う成長痛って手相に出ているよっ! それに生命線がすごく長いなあっ! これ、すっごくいいよぉ!」


「そなのー? ワッフーイ!」


「いやーっ、ホントによかったねえ! じゃあ、またね~~!」


 しれっと姿をくらまそうとしたものだから。


「ちょ! 待たんかいっ!」


 タモちゃんは創造主を鷲掴みにした。


「ダメか……。本当に知りたい?」


「いいから、話して!」


 創造主は大きく吐息を漏らしてから。


 やおら言葉を紡ぎ始めた。


「いまタモちゃんは精神年齢を削って妖力を使えるようにしているよね。それを変えてみようと思うんだ」


「また下方修正するつもり?」


「どうかな。タモちゃんの考え方次第だね」


 タモちゃんは手近にあった岩に腰掛けて。


「詳しく聞かせてもらおうじゃない!」


 耳を傾けた。


「妖力を使うために精神年齢を削るんじゃなくて……、生命力を使ってもらおうかな、と」


「へえ、子供になる代わりに体力が減っていくってことよね! それならポーションで回復できるし、ずっといいかも!」


「残念だけど、スタミナじゃないよ。寿命が減っていくってことなんだ」

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