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♯19 お仕置き、それは甘美な愉しみ

 傀儡が恍惚の表情で身悶えるなか。


 靄は白く輝きだして。


 中に捕らわれていたデッドリィがころんと外へ解放された。


「精神チャージ!」


 タモちゃんは駆け寄って。


「デッドリィ! デッドリィ!」


 揺さぶり起こすが。


「タモちゃん、夜這いしちゃらめぇ」


 ぜんぜん寝ぼけているので……。


 ビンタしてたたき起こすと。


 タモちゃんを目の前に見るなり。


「こっ、これは正夢! いま(おしょ)わないで、いつ(おしょ)うーーっ? むちゅちぃう~~~~~っ!」


 唇を突き出してきたものだから。


「ひひぃいぃいいっ! 目を覚ませーーーっ!」


 タモちゃんは両頬を思いっきりひっぱたいた。


「ハッ!」


 目が覚めたデッドリィは、辺りをキョロキョロ見渡して。


「ここ、どこぉーーーっ?」


 瓦礫と化した町並みに。


 あがる火の手。


 空からは大量の火の岩が降ってくる。


 デッドリィはおののいて。


「どうなってるのぉーーーーーっ!」


 頭を抱えて錯乱しだした。


 タモちゃんがデッドリィの首を無理やりグキリと傀儡の方に仕向けると。


「あいつに捕らわれていたんだ!」


 傀儡を見るなり。


「おまえの仕業かーーっ!」


 デッドリィは目を三角にした。


「こ、これは、デッドリィしゃま。本日はお日柄もよろしくて……」


 デッドリィのあまりの剣幕にビクついて、傀儡が揉み手で媚びへつらうも。


「土砂降りだわっっ」


 デッドリィは火の雨を指さして。


 肩を(いか)らせ、傀儡に詰め寄っていく。


「町をこんなにめちゃくちゃにしちゃってーーっ!」


 デッドリィが空間から聖剣を取り出し、構えるや否や。


「待って! まさかそれでお仕置きするきですかーーっ?」


 傀儡は直立不動になった。


「おまえなんか切り刻んでやる! おりゃ、おりゃ、おりゃ、おりゃ、おりゃあーーーっ!」


「あっひゃあーーーっ! お仕置きという名の、ご褒美しゅきぃーーーーーっ!」


「この、マゾクグツーーーッ!」


「デッドリィしゃましか勝たーーーんっ!」


 傀儡がデッドリィの聖剣でなぶられていくたびに、黒い靄が白く光り輝いてゆき――。


「まだ言うか! この、性悪人形っ!」


「あっはぁあぁあああーーーーーっ!」


 傀儡の心の穢れが晴れてクリアになったとき。


 純白の靄からジュテームとエターニャと半と鈴鹿がころんと同時に解き放たれた。

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