表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/159

♯16 あたしの至極を受けてみろ!

 傀儡は気持ちの悪い虫をはたき落とすかのように扮装を振りほどくと。


 ある商店の窓に貼られていた広告の少女に目をやった。


 そして靄の状態に戻ったのちに。


 短く切りそろえたショートヘアの。


 ラテン音楽でも踊り出しそうな、ミニの黒いドレスを着たメガネ少女に変化してみせた。


「その顔、ドラマで見たことあるぅ! 肖像権侵害だぁ、侵害だぁ!」


 扮装を解かれてしまったタモちゃんが唇を尖らせるが。


「世の中には似た顔の人間が3人はいるのを知らないのっ? というか、タモちゃんを倒せれば姿形なんて、もうどうでもいいっ!」


「だったらさっきのバニーおじさんでいいじゃない!」


「あれはやだーーっ!」


 傀儡がネコのように毛を逆立てて拒絶するものだから。


「なんか、傀儡、かわいいな」


 タモちゃんは少しキュンと来た。


「また馬鹿にする気っ?」


「あ! でも、メガネの形が丸のままってことは、結構気に入ってたんじゃないのお? 天の邪鬼さんなんだからあ、もう!」


「だまれ、だまれっ! お返しに、おまえの仲間をこうしてやるっ!」


 傀儡はそう言って、手の平を握り締める仕草をしてみせた。


 すると、黒い靄がぐぐっと収縮し出して、中に捕らわれているジュテームたちが苦しみだした。


「や、やめろ! 八つ当たりなんてよくないぞ! みんなを返せ!」


 タモちゃんの表情がシリアスに急変したのを見て。


 傀儡が優越感を取り戻す。


「救世主なら自力で取り返してみれば? タモちゃんは救世主のくせに、たった五つの命も救えないの?」


 傀儡は拳をいたずらに握り締めて。


「ぐぁああああっ」


 ジュテームたちをおもちゃのようにいたぶり遊ぶ。


「そこまで言うならやってやる! あたしの至極を受けてみろ!」


 タモちゃんの髪の毛がはためいて。


 煮えたぎった鋼のような、クリムゾンレッドに染め上がっていく――。


()えて()()れっ! 火炎岩(かえんがん)迦楼羅(カルラ)大火球群(だいかきゅうぐん)!」


 降り注いでくる炎の岩の数々が。


 爆発しながら巨大化したかと思えば。


 火炎を纏いし巨鳥に変化した。


 巨鳥の群が紅炎を噴き出しながら。


 傀儡めがけて突進する!


 逃げる傀儡を四方から追い詰めて。


 ぐしゃぐしゃあっと続けて直撃。


 ひと塊のマグマのように閉じ込めたかと思いきや。


 激しく燃え上がって、大爆発!


「あたしを無闇やたらと煽った報いよ。後悔しなさい!」


 傀儡は圧殺されて。


 燃え尽きたと思われた。


 のだが!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ