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♯13 黒い靄

 火の雨のなか。


 ひとつの巨大な岩塊が。


 火を噴き出しながらこちらに向かって落ちてくる!


 町を切り裂き、燃え上がる火の壁に、タモちゃんは念を撃ち込んで。


「妖力フリーイング!」


 地面で焼け広がっている岩のひとつに腕を突き出し。


()えて(つらぬ)けっ! 火炎岩(かえんがん)迦楼羅(カルラ)大火球(だいかきゅう)!」


 落下してくる炎の岩へと、腕を勢いよく振り上げると。


 妖術の力で火の巨鳥へと変化した岩塊が、力強く羽ばたきだして。


 落下してくる火の岩塊と一直線に――。


 正面衝突!


 粉々に破裂、飛散した!


 火の粉がスコールとなって降り注ぐなか。


 タモちゃんは、すぐにしゃがんで下へ目をやった。


 倒れ込んでいるバーテンダーの男の顔を覗き込むが。


「ひっ」


 真っ黒焦げの、のっぺらぼうだ(かおがない)


「ジュテッ……、違う! あいつはもっと体が大きいはず!」


 タモちゃんは立ち上がって。


 辺りを見渡した。


「ジュテーム! どこーーっ?」


 家屋が燃える、ゴーゴーという風と火の音が邪魔をして、返事らしきものは聞こえてこない。


 立ち込める黒煙で視界も遮られている。


 そして熱い。


 タモちゃんは家に戻って、リビングや皆の寝室を見て回った。


「鈴鹿ーーっ! エターニャ! デッドリィ! (ハン)ーーっ! みんな、どこーーーっ?」


 ――が、誰もいない。


 その直後。


 タモちゃんは背筋が凍りついた。


 今までに感じたことがないような、強大な魔力がこちらに向かってやってくる。


 それは通り過ぎるような気配ではなくて。


 自分を目指してやってきているのが肌身でわかった。


 タモちゃんはくるりと身をターンして。


 パジャマをチェック柄のワンピに変化させると。


 廊下を駆け抜け。


 再び外へ飛び出して。


 空を見上げた。


 放射能のように禍々しい魔力を放つ、黒い(もや)の群れが浮いている!

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