表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/159

♯12 あした天気になーぁれ!

「目隠しで効果があるかわかりませんけど、せっかく作ったのを捨てるのは可愛そうですし!」


「それもそうだ。よいしょ、よいしょ。これで、よし!」


 目隠しをしたてるてる坊主を、三人で窓際に飾りつけていく最中に。


 ひとつ、タモちゃんが落としてしまった。


 タモちゃんはすぐに拾うことなく、手をにぎにぎしたり、手首を振ってみたりしている。


「どうしたの?」


 エターニャが代わりに拾い上げると。


「ケーキ作りで握力使いすぎたかな……?」


 タモちゃんは小首を傾けた。


「ハンドミキサーとか、ちょっと重かったかも知れませんね!」


 そうかも、と、三人で笑い合う。


 窓に飾りつけられた目隠してるてる坊主の数は全部で10体。


「目がないと……」


「なんか恐いわね……」


「見慣れない感は否めませんけど……、信じましょう!」


 エターニャとタモちゃんと鈴鹿は改めて明日の晴天をお祈りしたのち。


「おやすみー」


「おやすー」


「おやすみなさい」


 寝室へと別れていったのだった。


 入れ替わるようにして、デッドリィがお水を飲みにリビングへやってきたのだが。


 そこで首から吊された、たくさんの目隠しされてる、てるてる坊主と遭遇してしまって。


「ひーっ、なにこれっ、黒魔術ーーっ?」


 びっくり仰天!


 腰砕けのままタモちゃんのベッドへ逃げ込んだとか、拒絶されたとか。


 大丈夫かなあ。


 こうして、おのおのが明くる日を楽しみにして、眠りについたのでした。



 そうして。


 翌朝になって――。


 突如、爆音が鳴り響いた。


 激しい揺れでベッドから飛び起きたタモちゃんが。


「地震っ?」


 キツネ耳のヘアバンドを着けて、窓に目をやると。


「なんで赤いのっ?」


 部屋を駆け出て。


 外へ飛び出してみると!


「火がいっぱい落ちてくるっ!」


 赤黒く光る天空から、焼け焦げた岩の雨がたくさん降ってきた。


 町並みが燃える異臭に鼻を押さえ。


 逃げ惑う人々の悲鳴が鼓膜をつんざくなか。


 煙立ちこめる店先に、誰かが倒れている!


 その、バーテンダー風の背中姿はまさか――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ