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♯8 ワンコイン

「エディモウィッチって、本当に強いの?」


 タモちゃんの疑念の声に、エターニャは人差し指をすっと立て。


「感じる魔力が半端ない」


「姿は見えないけれど、自分より強大な魔力があるのが、空気っていうか、肌で伝わってくるのよ!」


 デッドリィも人差し指を突き立てた。


「解りやすく言うなら、暗黒物質(ダークマター)が自我に目覚めたような存在だ!」


「ええーーっ! これはタモちゃん、思っていたより超難敵ですよっっ!」


「おおっ、この例えがわかるのか!」


「銀河をも操るパワーがあるってことですよね!」


 エターニャと鈴鹿が意気投合するさなか。


 エターニャが物知り顔で振り向いて。


「わかるかあ?」


「いや、わけわからん」


「あたしもちょっと理解できないなっ……!」


 タモちゃんとデッドリィが困った笑い顔をする。


「火とか、氷とか、属性はあるんです?」


 半が聞くと。


「全部だな」


「だからみんな恐れてた」


 エターニャとデッドリィは神妙になって首を縦に振る。


「タモちゃんは属性っていうか、得意な妖術があるんですか?」


 半の問いに。


「特にない。利用できればなんだってやれるわよ!」


 タモちゃんが得意げに鼻を高くすると。


「さすがはタモちゃんね!」


 デッドリィはハート型に目を光らせた。


 そうこうしているうちに、五つのホールのショートケーキにイチゴの飾りつけを完成させて。


「できたーーっ!」


 タモちゃんたちはハイタッチ。


「ジュテームさんに見てもらって採点してもらいましょう!」と、鈴鹿に呼び出されたジュテームがやってきて開口一番。


「ほう? 初めてにしちゃ、上出来じゃねえの!」


「でしょお、でしょお! もっと褒めてぇ」


 タモちゃんたちは体を揺すって自画自賛だ。


 ジュテームはフォークでひと口食べてみて。


「味も悪くない。ほぼレシピ通りだな」


 サムズアップする。


「いくらで売れるかな!」


 タモちゃんたちが期待に胸を膨らませるなか。


「日本円で言うなら……」


「言うなら?」


 みな目をキラキラさせて。


「1個100円」


 ずっこけた。


「ひゃくえっ……」


 タモちゃんが絶句する。


「せ、せめて300円くらい取ってもいいんじゃないですかっ?」


 鈴鹿が皆の頑張りを取り繕うと提案してみるも。


「ダメだ。100円にしとけ。それも、パティシエ見習いを始めたばかりの初心者が作った訳ありケーキと書くんだぞ」


 ジュテームが頑なに苦言する。

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