♯4 サプライズ
「俺に教わるつもりかよっ!」
「いいでしょおおおっ」
「妹たちのためにひと肌脱いでよぉおおっ」
「ボクたちも生活費を稼ぎたいんですぅううっ」
「頑張るからぁああっ」
「ジュテームお兄ちゃあああんっ」
タモちゃんに、デッドリィ、鈴鹿に、エターニャに、半がジュテームへすがりつくと。
「こら、抱きつくな! レシピを教えてやるから、その通りに作ればいいっ!」
ジュテームは恥ずかしそうに皆を押しのけた。
「えー、レシピだけー?」
タモちゃんが甘えた声を出してみるが。
「ケーキはレシピ通りに作れば誰でもできる」
「美味しく作る秘訣はないの?」
エターニャの無邪気な眼差しにも。
「下手に手を加えるな。あとはネットでも見て練習を繰り返せ」
ジュテームが厳しい目をみせる。
「それじゃ個性出せなくなぁい?」
デッドリィが猫撫で声でだだをこねてみせたのだが。
ジュテームは皆を慎ませて。
「作る人の人柄で出来映えが変わるから安心しろ。それから店頭に立つのはダメだ。たしか使ってない魔法仕掛けの自動販売機があるから、無人販売にしろ」
口をへの字に曲げてしまった。
「なぁんでよー」
タモちゃんたちの尖った唇をなだめるように。
「プロとしての実績があるなら別だが、この国は未成年が働くのをあまり良しとしねえ風潮がある。トラブルになるのはごめんだからな。それに、デッドリィ、半、エターニャにお嬢、おまえらも学校へ行くんだ。編入手続きは俺が済ませておいた。夏休みが明けたら鈴鹿と一緒に登校だ!」
ジュテームの口からビッグニュースが突然飛び出したものだから。
「なんだってーーっ!」
タモちゃんたちは目を丸くした。
デッドリィは喜びがこみ上がってきて。
「ジョポンの学校に通えるのっ? ありがとう、ジュテームお父ちゃあぁああんっ」
ジュテームにハグをするが。
「お父ちゃんはやめろっ!」
ジュテームが鳥肌を立てて逃げ惑うものだから。
デッドリィはそれがおかしくって。
「パッパーーーッ!」
「もっとやめろおおっ!」
背中から何度も抱きついた。
「拙者が学生……」
半は制服姿の自分を想像して赤くなり。
「タモちゃんと同じクラスじゃなきゃ不登校だぞ!」
エターニャは友達のできなかった通園時代を思い起こしたのか、涙目でむっとなる。
「みんなの学費を払ったから極貧になったんじゃ……?」
鈴鹿はなんだか先行きが不安になってきた。