♯16 お願い事って微妙にずれて叶わない?
半が大槍を掲げると。
壁一面に稲妻の柱がビリビリと立ち並び、大広間は雷の鉄格子に取り囲まれた牢獄と変化した。
「マジカリストってことは、エディモウィッチの手先だったのか!」
「あんなやつ、エターニャは見たことないぞ? デッドリィ、知ってる?」
「あたしも知らないわ!」
タモちゃんたちが困惑するさなか。
半は不敵に笑って。
「それもそのはず! 拙者はついこの間、地球から召喚されたばかりだからな!」
見得を切る。
「なんだって! おまえを召喚した奴ってのは、まさか……」
タモちゃんたちの予感に応えるように。
半は天井を仰ぎ見て。
「瑠璃色の神様だーーっ!」
腕を広げた。
「やっぱりかーーーっ」
全員、四つん這いで項垂れる。
「これを知って震駭するがいい! 拙者の前世は服部半蔵だ!」
「なにーーっ?」
「あの、歴史的有名人のっ?」
皆が恐れおののくなか。
鈴鹿だけがその発言に真っ向から立ち向かう!
「それゎおかしな話れし! 服部半蔵ゎ忍者らなくて、武士だったはずれしゅろ! あなた、偽物れしゅら!」
「鈴鹿っ? ろれつが大変なことになってるぞっ?」
タモちゃん越しの、鈴鹿の鋭く突き立つ人差し指に!
「ふ、拙者のことを良く知っている者がいたとはな」
半はやや憤り気味にあぐらをかいて、語り始めた。
「さよう、拙者は忍者というより武士であった。あの時代、忍者ひと筋では食べていけないと思ったから、忍者の統率者として家康様にお仕えしたのだ。本当は真の忍びになりたかった! その旨を瑠璃色の神に話したら、どういうわけか、忍術の使える魔法少女にされてしまったのだああっ!」
半が手の平でこめかみを押さえつけて悶絶する。
「創造主の犠牲者がまたひとり、増えてしまったか……」
タモちゃんは気だるく哀れんだ。
「いいじゃないれすか。可愛く生まれ変われたんらからあ!」
鈴鹿の指摘に思うところがあったのか、半は顔を真っ赤っかにして。
「面が良くて、忍者が務まるかーーっ」
「ありゃあ、自分でも可愛いって思ってる口だぜ?」
「必ずしも嫌いではないって顔に書いてある!」
ジュテームとエターニャに図星を指されて。
「うるさい! うるさい!」
半がさらに顔を赤くする。
「でも、ほら、くノ一ってさ、エッチなことして任務を遂行したりするんでしょ。可愛くて何が悪いの?」
デッドリィの捌けた意見に。
半は顔から火を出して。
「お、おまっ、恥じらいもなく、よくそんにゃことを~~っ! それは偏見だぞっ! 全忍者にあやまれっ!」
柳眉を逆立てる。