♯15 手当たり次第に!
噛みつかれまいと体中を翻し。
皆がてんてこ舞いになっているところへ。
「どっかーーん!」
ひと筋の雷が駆け抜けた!
数多の落書きピラニアを数珠つなぎにしたかと思えば!
「タモちゃん、負っけないぞーーっ!」
瞬く間に大量の落書きピラニアを消滅させてしまったのだった。
「今のタモちゃんがやったのっ? ステキね!」
「そうか! さっきの静電気を利用して、雷の妖術を使ったんだな!」
デッドリィとジュテームの気分が盛り上がるなか。
「霹靂の玉つなぎーーっ!」
子供タモちゃんの放つ迅雷が、次々に落書きピラニアを退治していく。
「お嬢って、もう子供のままでいいんじゃねえか? 妖力も無限に使えるしよ!」
ジュテームがそう言った矢先に。
「ぎゃはーーーっ」
近くにいたエターニャに雷が側撃した。
「あっぶねっ」
それを見た子供タモちゃんが大爆笑。
「ぎゃははははっ、それそれ、霹靂の玉つなぎーーっ!」
雷電流の稲光を、ところ構わず蜘蛛の巣のように張り巡らせていくものだから。
「やべえ! 敵味方の見境なしだっ! おい、みんな気をつけろーーっ!」
ジュテームとエターニャが。
「あぎゃーーーっ」
何度か側撃雷の餌食となったのち。
ついには落書きピラニアのエリアを抜けたのだが!
「こんなんじゃ体がもたねえ。鈴鹿、お嬢にキツネ耳をつけてくれーーっ」
「ええーーっ」
ジュテームの懇願に渋る鈴鹿から。
「そいっ!」
「ああっ」
エターニャがキツネ耳のヘアバンドをくすね取り。
カエルさんフードの代わりに、キツネ耳のヘアバンドをタモちゃんに装着する!
「もとに、もどれーーーっ!」
すると同時に、前方を塞いでいた大襖がババンと開いた。
数百畳はあろうかという、青畳の大広間が広がっていて、その最奥に!
「あーーっ!」
「ふあっはっは! よくぞ、ここまで来たな!」
「太っちょ忍者だーーっ!」
タモちゃんたちの見開く目に、あんこ型の体型をした、黒ずくめのコンダクターが立っていた!
「あなた、ラスボスだったのね!」
「ついてくると言ったときから怪しいと思ってたぜ!」
デッドリィとジュテームが、負けん気を出して戦闘態勢になる。
「太っちょ忍者とは仮の姿! しかして、その実態は!」
太っちょ忍者が忍び装束を剥ぎ取ると!
通気性の良さそうなメッシュ生地と、迷彩柄を組み合わせた、スポーティな現代風忍び装束を身に纏う少女が現われた!
すらりとした立ち姿に。
ポニーテールをふわりと揺らして。
「我こそが第3のマジカリスト! 大槍使いの半とは、拙者のことなのだーーーっ!」