♯5 アニメで見た世界
「学祭だって?」
「ほほう!」
タモちゃんとエターニャの視線がふたたび鈴鹿に向けられた。
「もしかして、鈴鹿ちゃんの学校って日本じゃないっ?」
「そうです! そうです! デッドリィちゃん、なんでわかったんです?」
「文化祭とか体育祭とか、みんなで一緒にやる行事があるのって、ジョポンの学校くらいなのよ! アニメでそういうのを見て、わたし、参加するのが憧れだったの!」
デッドリィが遠い宙を仰ぎ見る。
鈴鹿は手をポンと打ち。
「欧米諸国の学校は自主性を重視するとかで、大きな学校行事がないんでしたっけ!」
「わたしも参加してみたい」
「タモちゃんが行くなら、エターニャも行く!」
みな、鈴鹿の話しに興味津々になってきた。
「それは良かった! ジュテームさんも保護者役で来てもらえますよね?」
「学祭ってのは、祭りみたいなもんなのか?」
「はぁい! 生徒がやるお祭りです!」
「いいだろう。それじゃ、次の日曜はみんなで鈴鹿の学校に遊びにいくぞーーっ!」
「おおーー!」
清々しく晴れた、学祭当日のお昼前。
ジョポン国はマウ県シジコ市のどこかにある鈴鹿の学校――、私たちの地球で例えるならば、日本のほぼ真ん中にある三重県鈴鹿市の近辺だろうか。
重厚な門構えをした正門前に、神通力で連れてこられたみんなは。
背景に雄大な七名山を望む、敷地のあまりの広大さに。
「なんてでかい学校なのよ……」
「いったい何クラスあるの?」
タモちゃんとエターニャがそそり立つ校舎を振り仰ぐ。
「クラス自体は少ないですよ。1学年10クラスくらいでしょうか?」
「充分多いわ!」
「ここは幼稚園から大学までの一貫校なんです」
「それで校舎がいっぱいあるのね!」
鉄筋コンクリートで建てられた三階建ての白い校舎や。
生徒が上履きへ履き替える昇降口に。
校舎と校舎をつなぐ渡り廊下。
見るものすべてがアニメで見た世界に酷似していて、デッドリィは大興奮だ。
タモちゃんとエターニャとデッドリィの三人は、ソースやマヨネーズの焦げた美味しそうな匂いや、生クリームなどの甘い香りにお鼻をすんすんさせて。
「タモちゃん、あれ!」
「なんか、うまそうなものがいっぱいあるなあ!」
「ホントにこんな風にご飯を売っているのね! アニメと同じだわーーっ!」
たくさんの連なった屋台に目をキラキラ光らせる。