♯4 尊さゆえに!
「え、なになに?」
タモちゃんたちが足を止めて振り返る。
「それはボクの弱点です!」
「鈴鹿にも弱点ってあったんだ!」
「どんなこと?」
鈴鹿はタモちゃんやエターニャに頷いて、胸に手をあて目をつむり。
「思い切って告白します! 実はボク……」
「ゴクリ」
「尊い成分をたくさん吸収しすぎると……」
「しすぎると……?」
「可愛いもの大しゅきな、キュンキュン女子になってしまうのですーーーっ!」
一同、ポカーーン――。
「なにそれ、いつもの鈴鹿じゃん」
「はい、かわいい。かわいい」
みなが失笑して。
「男子に人気がある子は、すぐにかわいこぶっちゃっうんだから……」
後片付けを始めちゃったので。
「そういうんじゃないんですってーーっ!」
鈴鹿は手近にいたタモちゃんを引き寄せて締め上げた。
「とんでもない天然キャラになってしまうんですよっ? ボク、恥ずかしい人なんですよっ! ハレンチ娘なんですよぉーーっ!」
必死に訴えかけるが。
「自分でゆってて恥じゅかじぐないのっ。てゆか、ギブ、ギブッ……」
タモちゃんは虫の息だ。
「今日の議題はこれだけか? なら、解散ということで」
「ちょ! ジュテームさんっ、神通力が使えなくなったらどうするんですかあっ? なにか対策しないと!」
「可愛いものを使って、どう攻撃するっていうの?」
エターニャが小首をかしげると。
「逆に恐くないから可愛いのにね」
デッドリィもそれに同調した。
「元マジカリストがふたりもこう言ってるんだし、心配しなくていいんじゃない?」
「タモちゃん……。ボクはまだ、限界を超えたことがないんです! 自分がどうなっちゃうか、それがとっても恐わいんですよぅっ!」
「二十歳過ぎの飲酒の悩みじゃないんだからっ!」
「なにせ、あの創造主さんがつけた弱点です! とんでもないことが起こるに決まってます!」
「鈴鹿の自意識過剰じゃね?」
ジュテームの意見に、タモちゃんも頷いて。
「うむ。千年にひとりの逸材だって自覚してるんだし、鈴鹿は大丈夫!」
「待って。ヘンタイまで卑下してない!」
鈴鹿がタモちゃんに押し迫る!
「そこは否定するんだ……。まあ、人に迷惑かけてない痴女なんだから問題なしよ!」
「迷惑かけてない痴女ってなんなんですかあっ?」
「じゃあ、家族会議はこれでおしまい! みんな、なにしてあそぶっ?」
「そうだなー……」
「待って下さい! 待って下さい! あとひとつ、重大なお知らせがあるんです!」
席を立ち始めた皆に向かって、鈴鹿はタブレットを高く掲げた。
「ん、まだあるの?」
「なあに?」
「今度の日曜日にボクの学校で学祭があるんです! 一緒に参加しませんか?」