♯2 ブルジョア生活
「では、さっそく! 始めましょーーっ! 今日はジュテーム・ファミリーにとって、ものすごいニュースがあるんです!」
「すごいニュースって?」
「なになにっ?」
鈴鹿は皆の気勢を落ち着かせる手振りを入れてから。
「ひとつめは、なんと、ギルーテビラツン王国の首相と、ペーロンデ共和国の大統領から、国を救った救世主として、感謝のお言葉を頂けました!」
「そいつぁすげえな!」
皆がわあっと色めき立つ。
「ボクたちの居場所は秘密なので、レジスタンスの外交官が代わりに会ってくれたんですが、救世主によろしくと、お礼をいっぱい言われたそうです!」
「言葉だけ? なにもくれなかったのぉ?」
タモちゃんが甘えた声で訴えかけると。
「支援金をたくさんもらえたそうですよぉーーっ!」
鈴鹿は肩を縮めて、はしゃいで見せた。
「おおー! 今日からリッチな生活ね! みんな、なに食べるっ?」
「和牛のステーキ! 1度味わってみたかった」
タモちゃんとエターニャの熱気が特に高まったのだが。
鈴鹿が申し訳なさそうな顔をして。
「いや、あの、お金は困窮しているレジスタンス支部に分配してもらえるように言っちゃいました……」
と、頭を下げると。
「なあんでよぉーー。鈴鹿、真面目すぎーー」
「ステーキがぁ……」
タモちゃんとエターニャは意気消沈だ。
そんな空気を鈴鹿は盛り上げようとして。
「でも! ボクたちが救世主だという名声は確実に広がっています! 今後、ボクたちが海外で活動するに当たって、きっと役立つことでしょう! この期待に応えられるよう、これからも頑張りましょうね!」
「だねー……」
「はーい……」
鈴鹿の鼓舞も虚しく、みんなの意気込みはさげさげだ。
「あああっ、そこで本題です。今までの大きな戦いで苦戦を強いられてきたのは、すべて弱点を突かれたからですよね!」
「だってそれ、ぜーんぶ創造主のせいなんだもーん!」
タモちゃんがむっつりして憤る。
――あわわ。どうしよ、流れが最悪にーっ。