♯22 タモちゃん、大ピンチ!
「エターニャよ、あんなんでも友達になりてえか? ん?」
ジュテームがエターニャに目をやると。
「こらーっ、独り占めするなーーっ!」
エターニャもタモちゃんに抱きついた。
「おまえもかよーーっ」
「離れなさぁい! タモちゃんが苦しがっているでしょーーっ!」
実は我慢していた鈴鹿もタモちゃん争奪戦に加わって。
いつの間にやら、こちょこちょ地獄の、てんやわんやの大騒動に!
「みんな、待って! とにかく友達からで許してーーっ!」
タモちゃん、全霊の救助を叫ぶも。
「友達になってくれるのかっ? タモちゃんはいい奴だなあ! はすはすっ」
「なんでエターニャまでっ」
「エターニャさん! わたしからタモちゃんを横取りしようとするなんて、イケない人ねっ! はすはすっ」
デッドリィも負けじとタモちゃんにすがりつく。
もちろん鈴鹿もこちょこちょ地獄の「はすはすっ」だ。
「いっひひーーっ、デッドリィは犯した罪を悔い改めろ! 仲良くなりたきゃ、屍人形を弔うのが条件だっはーーっ!」
「ああ、タモちゃん、あれなら魔法を解けばいつでも元通りの人間にもどるわよ?」
「なぁにーーーーーっ?」
後日、アジトの大人のケーキ屋さんにて。
「この記事、見て下さいっ!」
鈴鹿がニュース画面を映したスマホを掲げて、タモちゃんに駆け寄ってきた。
「なになに、死んだはずの人間が、突如家に帰ってくる珍事が各地で続発? 世界の総人口が1%増えたとのうわさ? あいつ、どんだけ屍人形を貯め込んでんのよ!」
それを聞いたエターニャが。
「デッドリィ、イケないんだ! こういうのは少しずつ解放するものなんだぞ! 人類が食糧難に陥ったらどうする!」
「1度に解放してあげないと不公平よ。それに早く恋人以上の関係になりたかったの!」
デッドリィが箒を持つ手を止めて、エターニャに恋心の反駁をしていると。
「おい、そこ! 行き場がねえっつーから、同居させてやってるんだぞ! 店の手伝いをするって言っただろうが!」
「はーい!」
ジュテームに叱られたふたりだが。
エターニャとデッドリィはなんだか嬉しそうに肩を弾ませて、タモちゃんを見つめながら、お店のお掃除に励むのだった。
「ふたりとも、ハートの目つきで狙い澄ますの、やめーーーっ!」
タモちゃん、大ピンチ!
――まあ、エターニャさんはタモちゃんだけじゃなく、その背後のジュテームさんも見ているような気もしますけどね! キュン!
鳥肌を立てているタモちゃんを、さすってあげる振りをして、ちゃっかり抱きつく鈴鹿であった。
第2章 おしまい!
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