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♯19 予期はしていた

 部屋の上昇が収まって。


 四方の壁がバタリと倒れる。


 タモちゃんたちは芝の手入れが行き届いた、広っぱの中に立っていた。


「ここは……?」


「宮殿の外だ!」


「元の庭園かっ?」


 ジュテームがタモちゃんを背後に匿うと。


 デッドリィの体から殺気が放たれ。


「すべてのお人形さんを使ってでも、堕天使からその体を取り返してやる! モッソコー、カルアナ・マノゲレサナサレ!」


 デッドリィが唱えると。


 宮殿の壁の上の方から順番に。


 蛍光イエローの屍人形たちがボロボロ剥がれ落ちてきた。


 それらはタモちゃんたちを取り巻き、重なり合っていく。


 宮殿が本来の壁色に戻ったころには。


 ダムのようにそびえ立っていて。


 最後の屍人形が積み重なると。


 取り囲んでいた何万という屍人形たちが横殴りの雨のごとく、一斉に飛びかかってきた!


「屍人形はこのエターニャとジュテームに任せて!」


「お嬢はデッドリィをやっつけてくれ!」


 エターニャとジュテームが左右に分かれて、迎撃の構えを身に宿す。


 炎のロッドに魔力を撃ち込み。


 満身の気迫を振り絞って。


 ふたり同時に!


「ウビラサンギ・ボーンジ・オンデ」


「これぞ豪快(ごうかい)豪傑(ごうけつ)湯池鉄城(とうちてつじょう)


「シテレンギラー・コーベノアジ!」


(しかばね)なろうが、()えさせるかよーーーっ!」


 高温高圧の、赤黒く光る火炎の熱波と。


 極限までに圧縮されて爆ぜ返った衝撃波が。


 屍人形たちを一瞬にして炭素化。


 動きを封じて吹き飛ばしていく。


 それでも屍人形たちは止めどなく。


 エターニャとジュテームへ襲いかかってきた。


 屍人形たちが頭上を飛び交うなか。


 タモちゃんはデッドリィと対峙して。


 緊迫した空気を肌身にビリビリ感じながらも、平然と澄まし顔のまま。


「気になっていたんだけれど、どうして酒蔵に目を付けた?」


「あらあら、堕天使が妙なこと聞くのね。それはもちろん、鉄壁の防御を無力化できるって聞いたからよ! 結果的に無意味だったけれど!」


「その情報って、まさか……」


「瑠璃色の変なヤツが教えてくれたわ」


「やっぱり創造主(あいつ)の差し金かーーっ!」

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