♯18 思い込みウォーズ
「やあ、デッドリィ! エターニャ様が遊びに来てやったぞ! ほら、受け取れ、手土産だ。レジスタンスの大物死体だぞ!」
魔法で浮かせたジュテームを引き連れた、エターニャがやってきた!
――救いの神、来たーーっ! って、あれジュテームじゃない? ぐったりしてるけど、死んじゃったのーーっ?
タモちゃんが目を奪われているなか。
エターニャが空中浮揚の魔法を解いて、空いてるベッドにジュテームを横たわらせた。
「あら、エターニャさん。こんにちは。それは先刻の……。へえ、まあまあね。そんなに欲しくなかったけれど、とりあえず、いいことが起こったわ。ミカエルしゃま、疑ってごめんなさい?」
デッドリィが素っ気なく微笑して。
品定めをするように、ジュテームの体を触った途端。
ジュテームの目がバチリ!
「まあまあだと? ふざけんなっ!」
罵声と共に全身全霊の衝撃波が撃ち放たれた。
完全に気を許していたデッドリィは。
それをまともにくらって吹っ飛ばされる。
一直線に壁へ直撃し。
大穴を砕いて瓦礫の中に埋もれた。
ジュテームがベッドから降り立って。
「お嬢、怪我してないかっ?」
タモちゃんの体をくまなく撫でる。
「く、くすぐったいって。やめーっ! それより、死んだのかとびっくりしたぞ! その上、エターニャがなんでっ?」
「話しは後だ! デッドリィの魔力が爆発的に増大している。くるぞ!」
エターニャはタモちゃんにアイコンタクトを送って、炎のロッドで斜に構えると。
埋もれた瓦礫をかき分けて。
落ち着き払ったデッドリィが。
のっそのっそと。
姿を現わし。
「そういうことだったのね……!」
デッドリィの目が光る。
タモちゃんたちが戦闘態勢に構えると。
デッドリィの目に涙が込み上がってきて。
「みんな堕天使に乗っ取られちゃったんだわあ! いま助けてあげるからーーーっ! うわああああんっ」
十字架をぶんぶん振り上げる。
「まだ、信じてるぅーーっ!」
タモちゃんは床に突っ伏した。
「お嬢っ??」
「タモちゃん、これはどういう状況ーっ?」
ジュテームとエターニャが困惑するさなか。
デッドリィがスマホを取り出し、なにかをタップした。
すると。
ギミックが組み合わさる大きな音がして。
部屋が激しく揺れ出した。
天井が観音開きに開け放たれて。
どんよりした雨空が見えたかと思えば。
エレベーターのように急上昇し始めたのだった。