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♯11 宿敵あらわる!?

 暗雲立ちこめるヴァロニヒ宮殿の広大な庭園にアラーム音が鳴り響く。


 鈴鹿はおもむろにスマホを止めて。


 思い出したように両手を合わせた。


「ごめんなさい! ジュテームさん、学校、行ってきます!」


 唐突に、鈴鹿が移動の神通力を唱えだしたので。


飛行(ひこう)滑空(かっくう)天翔(あまかけ)る、()せて(そら)()べ、疾駆(しっく)招来(しょうらい)!」


「ちょ、待ってくれ、おいーっ!」


 ジュテームは慌てて鈴鹿の腕をつかんだ。


「授業なんか受けなくっても、鈴鹿は勉強できるだろ!」


 鈴鹿は申し訳なさそうに、ジュテームの手を振りほどくと。


「このごろ遠征つづきで出席日数が危ないんです! このままだと、ボク、留年しちゃいますよ!」


 と、拳をぶんぶん振り動かした。


 対してジュテームも声を募らせて。


「俺だって店があるっつーの! 俺たち3人の生活費がかかってるんだぜ?」


「営業は夜からじゃないですか!」


「仕込みとか、いろいろあんだって!」


「出席さえ取ったら保健室に行く振りをしてすぐに戻ってきますから! それまでなんとかしててください! ね!」


 鈴鹿はそう言い残して、空間に丸く現れたポータルの歪みの中へと掻き消えた。


「なんとかって、俺ひとりでかよーーっ?」


「無茶はダメですよーー!」


 空間の歪みは消えてしまった。


「参ったな。デッドリィを見つけ出しても、お嬢を盾にされたら攻撃できねえぞ……」


 ジュテームが「どうすりゃいいんだ」と、頭を抱えていると。


 草陰から笑い声がして。


「くっくっく……」


「誰だ! 出てきやがれっ」


 ジュテームの前に勇ましく足を踏み出し現れたのは。


「だいぶ困っている様子だな!」


 ストレートの髪をふたつ結びにしてさらりと垂らし。


 火種色のローブデコルテを着て。


 炎のオブジェを冠したロッドを掲げるちびっ子だ。


 そのあどけなさの残る悪巧みの顔が。


 ジュテームにまざまざと、先の可笑し(しれつ)な戦いを思い起こさせた。


「てっ、てめえはっ!」


「その通り!」


「おバカなメスガキ!」


「エターニャだっっ」

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