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♯3 病んでるご飯

 タモちゃんはマジックアイテムのスマートフォンを取り出して、まだ襲われていない酒蔵を検索し始めた。


 しかし魔法回線が安定していないのか、ちっとも結果が表示されない。


「箒が五本も立っているのに、どうなってるのーっ!」


「待ってください……、たしかペーロンデなら酒蔵が無事なところがあると聞きました!」


「そこだっ! てゆっか、ペーロンデってどこよっ?」


「私たちがいた地球で例えるならポーランドです!」


「強いお酒があるといいわね。でもどうやってジュテームを連れだそう」


「特別な料理酒があると言えばきっとついてきてくれますよ! その前に彼の料理を食べてあげることが大前提かもですけれど……」


 鈴鹿が絶望の淵に立ったような顔色になる。


 つられてタモちゃんも顔と髪が青くなり。


「ま、まさか、まずいのか? 草食男子なのにまずいのかっ?」


「草食男子だからといって、みんな料理が美味しいとは限りませんよ!」


「どのくらいのまずさなんだ……?」


「まずいというか、異次元の料理です……」


「い、異次元……?」


「ともかく提言してみましょう」


 タモちゃんたちが恐る恐るダイニングに戻ってみるとそこには。


 セラミックの真っ白なテーブルの上に。


 燃え殻のようなどす黒いパンケーキが何枚も積み重なっていて。


「コントラスト仕事しすぎかーーっ!」


 焦げ臭いというよりも、なぜかカビ臭くて目に染みる圧がある。


 タモちゃんは唾を飲み込んで。


「な、なあ、ジュテーム。一緒にペーロンデへ旅行しないか? 特別な料理酒があるんだって!」


 ジュテームはフライ返し(ターナー)をパシパシと手に打ちつけながら。


「ちゃんと朝ご飯を食べてくれたら、ペーロンデでもどこへでも行ってあげるよ! んっふふっ!」


 と、表情を作ることなく口元だけをニヤリと歪ませた。


「草食男子というより、ヤンデレ中年(ミドル)だよこれーーっ」


「しーーっ! この試練を乗り越えないと、ついてきてもらえませんよ!」


 鈴鹿に背中を押されてタモちゃんは。


 ジュテームの真顔な笑みに怖じ気づきながらも意を決し。


「くっ、食ってやろうじゃないのーーーっ! 鈴鹿、行くぞっ!」


「ええっ、ボクもっ?」


「えっ、まさかあたしだけに食べさせようとしてたのかーーっ?」


「とんでもありませんーーっ。ボクも食べますーーっ!」


「いいかっ? 息を止めてるうちに全部食って水で流し込むんだっ!」


「がってんだーーーっ!」

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