♯16 インフェルノ
「あいつ、変身する前にバテるんじゃね?」
「さすがにそこまでバカじゃないでしょ!」
「最後まで踊りきれるかどうか試しているはずですよ!」
タモちゃんたちが言ったそばから。
エターニャは息を切らせて膝に手をついた。
「ちょっと、タイム……」
「あ、やっぱバカだわ」
ジュテームがぷっと吹く。
「鈴鹿、今よ、例の神通力をやって!」
「わかりました!」
鈴鹿は指を組んで印を結び。
堅固の術を唱え始める。
「強靱頑健不退転、不死身の総身よ、剛体招来!」
ヘキサゴナル・ダイアモンドのように、タモちゃんたちが不壊の体になっていく――。
「引っかかったな! ビルーデ・エビ・ヒルアミ!」
エターニャは炎の刃を撃ち出した!
タモちゃんは神通力の効果のせいで体が固まり動かせない!
タモちゃんの髪が固まってしまうその前に、炎の刃が襟首から髪の毛を焼き切った!
「しまった、髪がっ……」
「はっはっはーーーっ! やったぞ! もはや妙な魔法は唱えられまい! これで最期だ! くらい死ねっ!」
エターニャがロッドに魔力を集中し始める。
そして魔力のこもった呪文を発語した!
「シテレングシテ・アロピシェン・エビ・アンフゥリネ!」
大地が東西に割れて裂け、そこからマグマが噴き出した。
大噴火が巻き起こり、見渡す限りのマグマの波濤がタモちゃんたちに押し寄せる!
「こりゃマジやべえっ!」
ジュテームが魂の気迫を放ち。
「これぞ豪快豪傑、金城鉄壁、俺の守りを破れるもんなら、破ってみろやーーーーーっ!」
命の壁をタモちゃんたちに張り巡らせた、その直後!
荒れ狂うマグマの大波がタモちゃんたちを飲み込んだ。
一瞬にして大地が火の海と化し、あらゆるものが燃やし尽くされ蒸発する。
エターニャは上空からその惨劇を見下ろして、狂喜した。
「どうだ! これが火のマジカリストと恐れられたエターニャ様の実力さあ! 骨くらい拾ってやっても良かったが、これじゃ欠片も残らないなあ。エセ救世主さん、あなたのことは忘れないわ。あと三歩くらいはねーっ!」