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♯16 それでも助けたい!

「ムギ、時間停止!」


 クライネが命令した途端。


 タモちゃんたちの時の流れがピタリと止まった。


「この先、タモちゃんたちはどうなる?」


 クライネがムギに尋ねると。


「このままだと最悪の事態になるーーっ!」


「タモちゃんたちが助かるように、未来の情報を書き換えることは可能?」


「クライネさまの権限ならできるーっ! でも、(いのち)にまつわる情報を書き換えるには、許可されてる容量が足りなくて無理ーーっ!」


「クライネの権限で、ごり押しできない?」


「できるーーっ!」


「それじゃ妨げになる全てのエラーを無視! タモちゃんたちが助かる未来に、情報をただちに書き換え準備!」


「ケイコク! ケイコクーーッ! そんなことを強引にしたら、世界が急変しちゃって、どうなっちゃうか予測できなくなるーーっ!」


「わかる範囲で教えて!」


「クライネさまはこの宇宙から強制的に追い出されるーっ。クライネさまに関する情報が、情報の平面からすべて消去されるーっ。もう二度とこの宇宙には立ち入れないーっ。それでも、やるーーっ?」


「そっか……、タモちゃんたちに会えなくなっちゃうのか……。でも、このまま死んじゃうのはもっとやだ!」


「代償として、タモちゃんたちからクライネさまの情報がぜーんぶ消失しちゃうよーっ? ホントにやるーーっ?」


「うん、忘れられたとしても、クライネはタモちゃんたちを助けたい!」


「最後の確認だよーっ。実行、するーーっ?」


「…………。ムギ! 書き換えをすぐさま……、実行!」


「はーーいっ! 実行中……」


 クライネは、時が止まったままのタモちゃんを抱きしめた。


「タモちゃん、クライネはみんなと出会えてうれしかったよ。一緒にご飯が食べられて、とても幸せだったよ。また、食べたかったけど……」


「書き換え……、終了ーーっ! 強制送還っ!」


「みんな! さようならーーーっ!」


 全速力で走る列車の線路に突然、別の線路が連結されたかのように。


 列車の進行方向が無理矢理に変更されて、脱線寸前の大きな反動が、世界中を激しく揺らして返した。


 宇宙を構成している次元のひとつの精神領域が、壊れそうなほどに波打って。


 タモちゃんたちは真実の夢幻(ゆめまぼろし)を、走馬灯のように共有して見る――。

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