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♯14 セント・オブ・スペース

 タモちゃんたちが気がつくと。


 爽やかな風が吹き抜ける、大草原に立っていた。


 空は澄み渡った青空で。


 心地の良い日差しが降り注いでくる。


 耳を澄ませば、小鳥のさえずる声が遠くに聞こえていて。


「ここは宇宙船の中なの……?」


 あまりにも空気がすがすがしかったものだから。


 タモちゃんたちは思わず。


 スーーーッと。


 深く息を吸い込んだ――。


「ラズベリーを炙ったような匂いがする!」


「いや、ラム酒の匂いじゃね?」


「いい香りね!」


 タモちゃんやジュテーム、デッドリィたちが何度も何度も深呼吸をしていると。


 クライネがふわっと現れて。


「気に入った? それが宇宙の匂いだよ!」


 暖かな、そよ吹く風を振りまいた。


「これが宇宙の匂い……!」


 タモちゃんたちは体が火照って、何だかほろ酔い気分になってきた。


「久しぶりの搭乗だから、ちょっと試運転してみるね! みんな椅子に座ってて!」


 クライネがそう勧めると。


 ちょうど膝裏に、丸みを帯びた真っ白な椅子が現れた。


 タモちゃんたちが腰掛けると。


「ムギ、地球が見渡せる場所へ!」


 クライネがそう言うや否や。


 青空が夜空に反転。


「はぁい、地球だよぉ!」と、ムギが応えた次の瞬間!


 青い惑星が上空に浮かび上がっていた。


「これが地球……!」


「拙者たちの住む地球……!」


「映像じゃなくて、本物の?」


「実物の地球だよ!」


 光る海。


 煌めく大地。


 輝ける空。


 命を育む、宇宙のオアシス。


 全天を覆う青い地球が、あまりにも美しくて。


 タモちゃんや半、エターニャたちが覚えず目を奪われる。


「こんなにも、まん丸なんだ……」


「見て! 大気の層って、あんなにペラペラ!」


「空気が宇宙に逃げないで、なんで張り付いてるのか不思議だね!」


 ロナに菜乃花、菜乃葉たちも目が釘付けだ。


「もっと凄いの見せてあげるね! ムギ、天の川銀河が見晴らせる場所へ!」


 クライネがそう言った途端に。


「はぁい、天の川銀河だよぉ!」


 一瞬にして、銀河が全貌を現した画角に、全天が切り替わった。


 色とりどりの、大小様々な星の大群が、巨大な螺旋を描いて、ゆっくりと輪転している。


 圧倒的なスケール、かつ、壮大な美しさに、吸い込まれそうになりながら。


「わあ、星屑が渦巻いてる!」


「星が小さすぎて、地球がどれかわからないわ!」


「ロマンチックね……」


 菜乃葉と菜乃花が手と手を繋いで。


 アマツカゼはとろんとした瞳で眺め入っている。

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