♯9 負のパワー!
そんななか。
「あっ!」
菜乃葉が待ち望んだ声を上げ。
「なにかあったっ?」
菜乃花たちの期待が高まった。
「折りたたまれた紙が挟まってる……。ちょっとまって」
菜乃葉が引っこ抜き。
開いてみると!
「0点の答案用紙!」
掲げられたバッテンだらけの答案用紙に、みんながぷっと吹き出した。
「0点なんて実在するの!」
「そんなの漫画の世界だけだと思ってました!」
「初めて見たねーっ!」
タモちゃんや鈴鹿、クライネたちが目をぱちくりさせる。
するとデッドリィが。
「もうっ、ロナちゃん! こんなところに隠しちゃダメでしょ!」
目くじらを立ててみせると。
ロナは不敵な笑みをして。
「引っかかったな、デッドリィちゃん!」
「えっ?」
「それは0点に見せかけた、愛の告白! あたしのラブレターなのさ!」
「なにそれっ、はあぁああんっ! ロナさま、ス・テ・キッ!」
ふたりは手と手をチュッと合わせて。
「乗ってくれるデッドリィちゃん、すっき!」
「あたしもロナちゃん、すっき!」
ハートを作って「どうかしらん」という、ふたりのどや顔に。
「なにこれ……」
みながそれを半開きの目で尻拭いする。
「と、とりあえず、本を近づけてみましょう」
鈴鹿が本を寄せつけてみると、強く輝きだして――。
0点の答案用紙をパクリと食べた!
「材料だったんだ……」
タモちゃんたちの肩から力が抜け落ちた。
「本当にこんなので不死の薬ができるの?」
「ものすごく不安なんだけど……」
菜乃花と菜乃葉がつぶやくと。
「0点なんて取ったらさ、最悪な思い出が永遠に残るからじゃない? その負のパワーを永久の寿命に利用するんだよ!」
「なんか嫌な薬だなっ!」
ロナの考察に、エターニャが酸っぱい顔になる。
「まあ、次、行ってみようぜ!」
ジュテームの提案に。
「鈴鹿、いま何時?」
「2時10分です!」
「まだいけそうね!」
タモちゃんたちも気持ちを切り替えた。
「もしかして、次もまた学校ですか?」
「半ちゃん、その通り! 次がラストです! がんばって見つけましょーっ!」
そして鈴鹿たちが最後にいざなわれた場所というのが。
「こ、校長室っ?」
一般の教室と違って、重厚感あふれる扉に、タモちゃんたちはたじろいだ。
「クライネ、入るの初めてだーーっ!」
「無断で入ったら絶対怒られるやつだよね」
「大丈夫。宇補先生がもみ消してくれるはず!」
クライネにアマツカゼ、鈴鹿たちが宇補先生を当てにして振り向くと。
宇補先生は首を縦と横に振りながら、ニヤニヤと微笑した。
「それはどっちの意味ですーーっ?」
タモちゃんが扉に手をかけて。
「開いてる!」
ガチャリと開けると。
暗い廊下に光が漏れてきた。
「えっ、校長先生、いるんじゃない?」
「どど、どうしようっ」
「これじゃ探せないぞ!」
デッドリィやロナ、エターニャたちが狼狽するなかを。
宇補先生がみんなをかき分けて前に立ち。
ババンと扉を開け放つ!