♯6 食べちゃったーーっ!
「みんな、不死の薬になりそうな材料を、しらみつぶしに探すのよ!」
デッドリィの掛け声で。
「カラだ! これもカラ」
「こっちにもなんにもない!」
「なにか必ずあるはずよ!」
エターニャやクライネ、アマツカゼたちが一斉にロッカーを開いていたところに。
「ありましたあ!」
半がなにかを発見した!
「えっ、どれどれっ?」
みなが半の元へ集まって、ロッカーを覗き込んだのだが!
「でも、これなわけ、ないですよね……」
青と白のしましまの、パンツがひとつあるだけだ。
その場がしらけそうになった雰囲気に、デッドリィが笑いかけの目にカドを立てて。
「ロナちゃん! またこんなところにパンツ忘れて!」
「あーっ、ごめんごめん! だって開放的でヤミツキなんだもん! この快楽だけは、絶対にやめられないぜっ! ぐへへへへっ! ……って、あたしのちがうわっ!」
「うわあ、いま、ぐへへって言ったよ……」
「言ったね……」
菜乃花と菜乃葉が白い目をして後ずさる。
「ノリツッコミに、ドン引きするのやめてっっ」
「しかし更衣室にパンツを忘れるなんてことある?」
小首をかしげるタモちゃんに。
「ノーパンで帰るってどういう状況かしらね?」
アマツカゼも同調して頭を傾ける。
「ロナちゃんじゃあるまいし!」
「ねえ!」「ねえ!」
「おいっ」
そのやりとりを聞いていた鈴鹿が一考して。
「確かに不自然ですよね。まさかとは思いますけど……」
しましまパンツに本を近づけてみると!
「わあ、どうなってるの!」
強く輝きだしたかと思えば。
本が焼けたお餅のように、中央がぷっくりと膨らんできて――。
パクリとパンツに食いついた!
「食べちゃったーーっ!」
クライネが嬉しそうに万歳するなか。
「不死の薬の材料であってたのっ?」
「てっきり食べられる材料だとばかり思ってました!」
「これは、思いも寄らないものでも材料の可能性がでてきましたよ!」
タモちゃんと半と鈴鹿は留意すべきねと目と目で頷く。
「けど、パンツが不死の薬の材料って、どういうことなの!」
「デッドリィちゃん、しましまパンツは男子にとって永久の憧れ! 永遠の命なんだよ!」
「意味がわからないよ、ロナちゃん……」
「他にもなにかあるんじゃないか?」
今一度、ロッカーをくまなく探すエターニャに。
「本の輝きが収まったので、ここにはもうなさそうです!」
鈴鹿は発光が落ち着いた本を掲げて見せた。