表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

137/159

♯4 私に任せなさい!

「ひいいぃいいいぃい~~~~~っ!」


「なんだぁ、タモちゃんたちかぁ……」


 縦長に固まってしまった菜乃花とは対極に、菜乃葉がおっとりと微笑み返す。


「あれぇ、菜乃葉ちゃんは平気なんだ」


 拍子抜けしたロナがつぶやくと。


「はい! うちは度々、丑三つ時にひとりで神社参りに行かされたことがあったので、平気です!」


 明るく元気に振る舞う菜乃葉だが。


 それを見たアマツカゼやデッドリィたちは。


「えっ、いったい何があったの……」


「それってヤバい儀式なんじゃ……」


 背筋を凍らせ後ずさる。


「ヤバいのは菜乃花のほう」


 菜乃花の口から飛び出した魂を、菜乃葉が無造作に掴み取る。


「うわあ、菜乃花ちゃんっ、だいじょぶっ?」


「エクトプラズムが出てるーーっ!」


「もどせーーっ、もどせーーっ!」


「3秒ルール! 3秒ルール!」


「菜乃花ちゃん、死んじゃだめーーっ!」


 タモちゃんにクライネ、エターニャに鈴鹿に半が大慌てで口の中へ魂を押し込んだ。


 そこへ皆の背後から!


「うらめしやーーーーーっ!」


「はぎゃぁあああぁああぁあっ!」


 大声で叫ばれたものだから。


 全員、硬直したのち、腰砕けでへたり込む。


 見上げるとそこには。


「なぁんだ、宇補先生かぁ、びっくりさせないでよ~~~」


 見知った顔でほっと安堵するも。


 宇補先生は目を三角にして。


「あなたたち、こんな夜更けに学校で何してるんですか!」


 みんなをジロリと見渡した。


「なにって、その~……」


 タモちゃんは目が泳ぎ。


「もしかして拘禁ですかっ?」


 エターニャは最悪のシナリオを覚悟して。


「強制連行だけはご勘弁を~~っ!」


 ロナは土下座で宇補先生を拝み倒した。


「何言ってるんですか! わたしは先生ですよ!」


 それでも宇補先生の怒りは収まらず。


「そこをなんとか~~~」


 デッドリィたちがすがりつくと。


「なんか楽しそうなことしてるのに! 連行してどうするんです! わたしも参加させてくださいっ、うほっ!」


 宇補先生がきゃぴっとお辞儀した。


「やっぱダメだこのせんせーーっ」


 半たちがはっちゃけるなか。


「それで、何をしているのっ?」


 宇補先生が胸を躍らせて聞いてくるので。


「それはですね……」


 タモちゃんたちは今までの経緯を、宇補先生に話して聞かせた。


「そんな事情があったんですね! 学校のことなら私に任せなさい! 大抵の悪事はもみ消してあげます!」


「ホントにダメだ、このせんせーーっ!」


「でも頼もすぃーーーっ!」


 宇補先生に教育者として残念がる者、惚れ込む者と、タモちゃんたちの反応は様々だ。


「ところで宇補先生はどうしてこんな時間にいるんですか?」


 デッドリィが核心的な疑問をぶつけると。


 宇補先生はそれはそれは楽しそうにして。


「真夜中に学校へ来るなんて、なんか変な感じでしょ! お化けが出てくるかもしれないし! そんな非日常的なスリルと刺激を味わえるのが、たまらないんですぅ。うへ、うへ、うへへへへ……」


「それで深夜の学校を徘徊してたのね……」


「だいじょうぶか、この先生……」


 タモちゃんとエターニャが、無表情のまま口元だけで笑い合う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ