♯2 行ってみりゃあわかる!
「名前がわからないと、探しようがなくない?」
「不親切な本ね!」
デッドリィとアマツカゼが唇をとがらせた一方。
「よし、図書館に行ってみよーーっ!」
「みんなで調べればきっとすぐだね!」
ロナとクライネは前向きに拳を突き上げた。
「蓬莱ってどこだろ、薬学?」
「漢方薬の部類かな?」
タモちゃんとエターニャが憶測するなか。
鈴鹿はみんなの注意を引きながら。
「みなさん、待ってください! 材料名は載ってませんでしたが! 材料が手に入るかもしれない場所はわかったんです!」
自慢げな顔を見せつけた。
「なんだあ! それを早く言ってよぉ!」
「ひとまず希望は繋がりましたね!」
デッドリィと半がほっと胸を撫で下ろす。
「でも何かはわからない、と」
「その場に行ってみるしかなさそうね」
エターニャとタモちゃんが腕組みすると。
「それっぽいのを見つけるの、ロナちん得意だし!」
「なにも手がかりがないよりマシだわ!」
ロナとアマツカゼが互いに気概を高め合う。
「まず、どこへ行けばいいんですか?」
「遠いところです?」
菜乃葉と菜乃花が問うと。
「それがですね……」
鈴鹿がまたもや考え込む。
「鈴鹿ちゃんでも移動が難しいところ?」
「いいえ、デッドリィちゃん。国内どころか、この学校のどこかですっ!」
「ええ~~~~~っ!」
「これを見てください!」
鈴鹿が本を机にバッと置き、開いて指で指し示す!
「4つの数字が書いてありますね」
「この数字がなに?」
半やタモちゃんたちが小首をかしげるなか。
「これはおそらくGPSの座標だと思うんです!」
鈴鹿が意想外なことを言い出して。
「緯度と経度か!」
エターニャだけは、ユリイカ!と手を打ったのだが。
「ちょっとまって!」
「この本ってインカ文明終期に書かれたんじゃないの?」
「そのころにGPSの座標だなんて」
「ありえないですよ!」
「謎だねーーっ!」
アマツカゼにロナ、菜乃花に菜乃葉にクライネが鈴鹿にくらいつく。
すると突然!
「ま、そこへ行ってみりゃあわかる!」
ジュテームが輪の中に降臨したものだから!
「ジュテームさんっっ?」
みなが椅子ごと後ずさってのけぞった。
「どっから現れたんですっ?」
「どうしてここにいるのよっ!」
鈴鹿とデッドリィの追及に。
ジュテームは腕組みをして。
「購買にケーキを卸すことになったのは、以前言っただろ? いやあ、学校でケーキなんざ売れるのか、半信半疑で様子を見に来たんだが。結構売れるもんだな。完売してたぜ……」
「ジュテームのケーキ、大人気ね!」
タモちゃんのひと言で顔をポッと赤らめる。
「まだ昼休みあるんだろ? 今からその座標に行ってみようぜ!」
ジュテームが提案してみるも。
「そうしたいのは山々なんですが、時間指定があるんです」
鈴鹿が困った顔をした。