♯1 待ちわびた級友
インカ帝国の埋蔵金掘りをして帰ってきたその晩に。
「ロナ隊員、本日から合流でありまあっす!」
ロナがタモちゃんたちの家へ転居してきて。
明くる朝にはもう。
「ロナッペだよぉ、改めてよろしくねーーっ!」
同じ学級に編入してきた。
鈴鹿たちと同じセーラー服を着こなして教壇に立ち、着ぐるみのアクターのような、おどけた挨拶をするロナを。
「待ってたよーーっ!」
みなが旧知のように迎え入れる。
そして。
「アマツカゼよ。特別に、あーまちゃんって呼ばせてあげる」
「独特な偽名センスだな……」
「誰が偽名よっ、あだ名なのんっ!」
終始クールなアイドルになりきっているアマツカゼも。
「今日からクラスメイトだねーーっ!」
レジスタンス分校に転入することとなったのだ。
「はぁい! 空いている席に座ってくださぁいね! うほ!」
宇補先生に促されて。
「やあやあ、待たせたな、皆の衆!」
「わたしと同じクラスだなんて、ラッキーな人たちね」
ハイタッチをしながら。
「クライネのとなり! クライネのうしろ!」
ロナとアマツカゼがクライネに捕まって、右隣と後ろの席に着く。
学び舎に新しい仲間が増えた、そんな日のお昼休み。
みんなで机を囲んでご飯を食べながら。
「鈴鹿ちゃんにご注目ーーっ!」
デッドリィに手でキラキラされて。
不死の薬・蓬莱について、鈴鹿が古代の本の解読結果を発表する運びとなった。
「どのくらいわかったの?」
タモちゃんが給食のハンバーグをついばんで聞くと。
「ひと通りは解読できましたーーっ!」
鈴鹿は分厚い本を掲げてみせて、目のくまがある顔で笑ってみせた。
「ひと晩でっ?」
「その量をっ?」
ロナとアマツカゼが思わずご飯を飲み込んで、目を丸くする。
「それ、昔のスペイン語ですよね!」
「あたし、母国語でも無理!」
半とデッドリィも食事を忘れて箸を止め。
「鈴鹿さんって、しゅごいです!」
「天才でしゅね……!」
菜乃花と菜乃葉が敬う目で仰ぎ見た。
「それでさ、不死の薬の材料ってなぁに、なぁに?」
クライネが催促すると。
「人魚の黒焼きとかだったりして!」
「ひひーーっ」
エターニャのいたずらめいた冗談で、みながひしゃげた笑顔になる。
ところが鈴鹿だけは浮かない顔をして。
「それがいくら調べても、はっきりとした材料名が載ってなかったんです。ガクリ……」
げっそりと項垂れた。