表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

134/159

♯1 待ちわびた級友

 インカ(アンコ)帝国の埋蔵金掘りをして帰ってきたその晩に。


「ロナ隊員、本日から合流でありまあっす!」


 ロナがタモちゃんたちの家へ転居してきて。


 明くる朝にはもう。


「ロナッペだよぉ、改めてよろしくねーーっ!」


 同じ学級に編入してきた。


 鈴鹿たちと同じセーラー服を着こなして教壇に立ち、着ぐるみのアクターのような、おどけた挨拶をするロナを。


「待ってたよーーっ!」


 みなが旧知のように迎え入れる。


 そして。


「アマツカゼよ。特別に、あーまちゃんって呼ばせてあげる」


「独特な偽名センスだな……」


「誰が偽名よっ、あだ名なのんっ!」


 終始クールなアイドルになりきっているアマツカゼも。


「今日からクラスメイトだねーーっ!」


 レジスタンス分校に転入することとなったのだ。


「はぁい! 空いている席に座ってくださぁいね! うほ!」


 宇補先生に促されて。


「やあやあ、待たせたな、皆の衆!」


「わたしと同じクラスだなんて、ラッキーな人たちね」


 ハイタッチをしながら。


「クライネのとなり! クライネのうしろ!」


 ロナとアマツカゼがクライネに捕まって、右隣と後ろの席に着く。


 学び舎に新しい仲間が増えた、そんな日のお昼休み。


 みんなで机を囲んでご飯を食べながら。


「鈴鹿ちゃんにご注目ーーっ!」


 デッドリィに手でキラキラされて。


 不死の薬・蓬莱(ほうらい)について、鈴鹿が古代の本の解読結果を発表する運びとなった。


「どのくらいわかったの?」


 タモちゃんが給食のハンバーグをついばんで聞くと。


「ひと通りは解読できましたーーっ!」


 鈴鹿は分厚い本を掲げてみせて、目のくまがある顔で笑ってみせた。


「ひと晩でっ?」


「その量をっ?」


 ロナとアマツカゼが思わずご飯を飲み込んで、目を丸くする。


「それ、昔のスペイン語ですよね!」


「あたし、母国語でも無理!」


 半とデッドリィも食事を忘れて箸を止め。


「鈴鹿さんって、しゅごいです!」


「天才でしゅね……!」


 菜乃花と菜乃葉が敬う目で仰ぎ見た。


「それでさ、不死の薬の材料ってなぁに、なぁに?」


 クライネが催促すると。


「人魚の黒焼きとかだったりして!」


「ひひーーっ」


 エターニャのいたずらめいた冗談で、みながひしゃげた笑顔になる。


 ところが鈴鹿だけは浮かない顔をして。


「それがいくら調べても、はっきりとした材料名が載ってなかったんです。ガクリ……」


 げっそりと項垂れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ